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グアルディオラの3年間は成功か?
3年連続でCL準決勝敗退の功罪。
posted2016/05/06 15:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
A. Beier/Getty Images for FC Bayern
興奮したドイツ人記者による早口の質問を理解しきれず、ペップこと、ジョゼップ・グアルディオラ監督は同席した広報責任者に聞き返した。そして質問の意図が、34分にミュラーがPKを失敗したことが勝敗を分けたのか、という趣旨のものだとわかると、ペップはこう答えた。
「それはわからないよ」
ただ、その時間帯はまだ、バイエルンの攻撃にアトレティコが対応できていなかった。大きなチャンスであったことは間違いない。
マドリードで行なわれたCL準決勝のファーストレグは、アトレティコのサウールのゴールにより、0-1でバイエルンが敗れた。グアルディオラのバイエルンはレアル・マドリー、バルセロナに続き、3年連続で準決勝の舞台でスペイン勢と対戦することになったが、アウェーのファーストレグで敗れるのもまた、3年連続のことだった。
賭けだった――DFの新しい配置と起用。
そんな状況で、グアルディオラは賭けに出た。世界最高のディフェンダーになれると語っていたアラバを、これまでのセンターバックではなく左サイドバックに回し、センターバックには3日前のボルシアMG戦で怪我から復帰したばかりのボアテンクをすえた。
「もちろん、怪我をする前の状態には戻っていないけど、フィットはしている」
試合前にボアテンクは正直に自身の状態をかたり、この試合を迎えた。
セカンドレグでは、序盤からバイエルンがペースを握っていた。アトレティコは守備時にはディフェンスラインと中盤がフラットにならぶ4-4-2でスタートした。だが、アラバが久しぶりに左サイドバックにまわり、リベリーとコンビを組んだ左サイドがバイエルンの起点になっていたのを見て、13分過ぎにはそれまで2トップの引き気味の位置にいたグリエスマンを右MFにまわし、サウールとポジションを入れ替えた。
それを見て、バイエルンの左サイドの2人も冷静に対応する。アラバが17歳でデビューを果たしたときから、リベリーはこの後輩を気にかけており、試合前に2人1組でパス練習をやる際にもコンビを組んでいた。練習場までアラバに運転させ、リベリーが助手席に座る、ということもよくある。