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“レッドマシンガン”化する広島カープ。
その中心には、あの外国人選手が……。 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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posted2016/04/01 10:40

“レッドマシンガン”化する広島カープ。その中心には、あの外国人選手が……。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

中日時代のチームメイトによれば、ルナには優れたリーダーシップがあり、他の選手に対しても非常に細かい分析・検証をしていたという。

「つなぐ4番」としてのルナの意味とは?

「4番は軸になる人を据えたい。中軸が代わる打線は組みたくない。カントリー(エルドレッド)には流れを変える一発があるが、(打線が)切れる怖さもある。彼の前でいかに走者をためられるか。その意味でもルナは、つなぐ4番として適任だと思う」

 石井琢朗打撃コーチは新打線の狙いを説いた。当然、緒方孝市監督も4番ルナによって「切れ目のない打線が組める」と期待する。ウイークポイントだった三塁と4番を埋められた。

 打順を決める石井打撃コーチには、思い描く打線がある。

 それは現役時代にセ・リーグを制した1998年の横浜にある。

 一発長打で得点するのではなく、つないでビッグイニングを作り“マシンガン打線”と呼ばれた打線だ。'98年横浜の基本オーダーは以下のようだった。

(遊)石井
(中)波留
(左)鈴木
(二)ローズ
(一)駒田
(右)佐伯
(捕)谷繁
(三)進藤

 打率、出塁率の高い上位打線と長打力のある5番、6番をつなぐ4番――。まさに狙いと重なる。「('98年4番の)ローズも本塁打が多い選手じゃなかった。でも2人とも野球を知っている。そういう選手が中軸にいると大きい」と石井打撃コーチ。広島打線は'90年代にビッグレッドマシンと呼ばれていたこともあったが、今季は“レッドマシンガン打線”が誕生するかもしれない。

菊池と丸への負担を減らし、全員でつなぐ野球を。

 日替わり打線だった昨季は中軸も思うように固定できず、主軸の菊池と丸への負担が増した。両選手は不振も重なって、起用タイミングとプレーの質で悪循環に陥り不甲斐ない成績に終わった。4番の固定によって、菊池と丸の主軸選手の負担を軽減させられるメリットもある。

 オープン戦でのルナは、打率が2割2分2厘に終わって不安の声も聞かれた。しかし、メディアやファンの心配とは対照的に、ベンチのチームメートたちはルナの技術の高さを再認識させられているようで、大きな信頼を寄せるに至っていた。

「(打撃で)なかなかヘッドが返らない、あの技術はすごい。試合でも得点圏で打席に入ると、何かやってくれる空気がある」と東出輝裕打撃コーチ。他の多くの選手たちも同じような思いを抱いていた。対戦相手として恐れていた打者が味方となった心強さは想像以上のようだ。

【次ページ】 新井が打席で粘る姿勢は、天谷に伝わっている。

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