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中国の爆買いとJ開幕当初は同じか?
日本が今も「いい職場」である理由。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2016/03/14 10:40
広州恒大のパウリーニョは、今アジアでプレーする最高の選手の一人。欧州でも一線で活躍できる選手だ。
JリーグからW杯へ出場した数々の選手達。
Jリーグへやってきたことで、彼らはブラジル代表から外れてしまったのか? 彼ら自身の競技力が低下したのか?
どちらも答えは「NO」である。アメリカから4年後のフランスW杯で、34歳になったドゥンガは2大会連続でキャプテンを務めた。サンパイオはボランチの定位置をつかんだ。鹿島からパリSGへ移籍したレオナルドは、ACミランの一員として2度目のW杯に挑んだ。
JリーグからフランスW杯へ出場したのは、ブラジル人だけではない。カメルーン代表の背番号10を背負ったのは、ガンバ大阪のパトリック・エムボマだった。名古屋グランパスで復活を遂げたストイコビッチは、ユーゴスラビアのキャプテンとしてひのき舞台に返り咲いた。'94年から'98年までにJリーグでプレーした選手では、ミカエル・ラウドルップやフリスト・ストイチコフもフランスW杯を彩っている。
ピッチの内外で日本人Jリーガーに刺激をもたらした彼らは、日本代表のフランスW杯出場を後押しした。同時に、自らがトップレベルを維持することで、Jリーグの競技力を対外的に示したのである。極東に生まれた新しいプロリーグは、余生を楽しむ場所ではないということを。
育成に力を入れた日本、一方中国はユース年代が苦戦中。
'90年代のJリーグは、円高の後ろだてを受けていた。外国人選手を輸入商品と考えると、仕入れ値が少なくて済む円高のメリットは見逃せない。
それほど遠くないタイミングで、Cリーグの爆買いも国内経済の影響を受けることになるだろう。そのとき、Cリーグはどうなるか。預金残高が増える以外のメリットを、外国人選手に感じさせることができるのか。
Jクラブによる優秀な外国人選手の輸入と並行して、日本サッカーは育成組織にも注力した。子どもたちは体系的な指導を受けながら、身近な憧れとして外国人選手のプレーに触れることができた。
近年のAFCチャンピオンズリーグにおいて、CリーグはJリーグ勢を上回る成績を収めている。広州恒大がスタートダッシュに遅れた今シーズンも、江蘇蘇寧、山東魯能、上海上港が悪くない滑り出しを見せている。
その一方で、日本が優勝したU-23アジア選手権では、グループリーグ敗退に終わった。ロシアW杯アジア2次予選ではカタールの独走を許し、香港と2位争いを演じている。グループ2位で最終予選へ進出できるかどうかさえ、予断を許さない状況だ。U-17やU-20のカテゴリーでも、世界大会は遠いままである。