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高橋監督が井端コーチに託した
岡本和真、2年目の“英才教育”。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byHideki Sugiyama

posted2016/03/04 10:40

高橋監督が井端コーチに託した岡本和真、2年目の“英才教育”。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

昨季、8月28日の中日戦で一軍デビューし、9月5日のプロ初安打が本塁打だった。

井端「現役時代から、気にはなっていた」

 ところがそこからご存知のように、事態は急転してしまう。

 1カ月も経たないうちに原辰徳前監督の辞任を受けて、球団は高橋監督に就任要請を行なった。そうして10月26日、現役引退を決断した高橋監督の就任会見が行なわれる。ほどなく盟友の井端も現役を引退し、内野守備走塁担当として入閣することが発表された。

 それから4カ月がたった宮崎、沖縄のキャンプ。井端コーチによる岡本の英才教育は、形を変えて実現することになる。

 キャンプ初日。練習開始直後のキャッチボールで井端コーチが岡本の右膝を抑えながら、スローイングを矯正する姿があった。

「現役時代から岡本だけじゃなくて、若い選手がキャッチボールをちゃんとできていないことは気にはなっていたんです。聞きに来た選手には気づいたことを伝えたりはしていましたけど、立場が違うから……」

 コーチとなって、自分の持っているものを基礎の基礎から、岡本に限らず中井大介や吉川大幾らの若い選手に注ぎ込めるようになった。

井端「基本ができれば、全部ボールは捕れる」

 井端の下で岡本が行なう練習は、本当に基本的な動きの継続である。

 ゴロを捕球して、正しいフォームで送球する。単純だが、そこに守備の要がある。

「僕はずっと、基本の形でボールを捕ってきた。基本をやっておけば忘れることはないし、それができれば全部、ボールは捕れると思っていた。実際に、試合でエラーをするときって、基本の形ができていないときですから。だから僕は現役の最後まで基本練習でした」

 岡本には、スローイングでひじが抜ける欠点がある。そのためボールがシュート回転して、送球が不安定になる。その矯正のために椅子に座ってスローイング練習をやらせるなど、個別のメニューも設定した。
「徐々に成果は出ていると思う。今までなら捕球してからステップをし直して送球していた場面でも、流れの中でボールを投げられるようになってきています。まだまだやることはいっぱいありますけど、少しずつ成長はしていると思いますよ」

 これが、現時点での井端コーチの岡本の守備に関する評価である。

【次ページ】 松井秀喜も含め、打撃の才能は誰もが認める。

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