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高橋監督が井端コーチに託した
岡本和真、2年目の“英才教育”。

posted2016/03/04 10:40

 
高橋監督が井端コーチに託した岡本和真、2年目の“英才教育”。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

昨季、8月28日の中日戦で一軍デビューし、9月5日のプロ初安打が本塁打だった。

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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Hideki Sugiyama

 話は昨年9月に遡る。

 巨人の高橋由伸監督が、まだまさか自分が翌年にチームを指揮する立場になるとは露ほども思っていなかったときのことである。

 8月末に一軍初昇格してきたルーキーの岡本和真内野手が、こんなお願いをしてきた。

「来年の自主トレに、一緒に連れて行っていただけないでしょうか?」

 高橋は現役時代、1月は若手を引き連れて沖縄で自主トレを行なってきた。そこに参加させて欲しいという岡本の願いは、すぐに受け入れられた。この時点で岡本の沖縄自主トレ参加が決まったわけだった。

 ただ高橋は、そこでハタと困ったことに気づいたのである。

「バッティングに関しては自分が面倒も見られるし、少しはアドバイスもできる。しかし、内野の守備に関しては教えることができない」

井端に“英才教育”守備担当を頼んだ高橋。

 実は8月に一軍に昇格してきた岡本を見て、その打撃センスにはかなりの将来性を感じていた。反面、高橋の目には、これから一軍に定着していくために克服しなければならない問題も見えていたのである。

 それが三塁の守備だった。

 お世辞にもプロのレベルではなかった。まだまだやらなければならないことが一杯あるのは、外野手の目から見ても分かる。それほど岡本の守備力は低い水準だったのだ。

 だから自主トレで体力作りや打撃を磨くことはもちろんだが、最大の課題は守備の基本を身につけることだと思っていた。

 しかし、内野をやったことのない自分には、それを教えることはできない。そこで声をかけたのが、こちらもまだこのときは翌年にコーチになるなど露ほども思っていない井端弘和(現・内野守備走塁コーチ)だった。

 井端は例年、1月は熊本で自主トレを行なうのが通例となっていた。

「熊本から沖縄に合流して、岡本に守備を教えてやってくれないか?」

 高橋が井端にこう声をかけたのは、10月に入ってペナントレースが終わる1週間ほど前のことだったという。

 もちろん井端もこの要請を快諾した。こうして、沖縄で高橋と井端による岡本の“英才教育”の青写真が決まった。

【次ページ】 井端「現役時代から、気にはなっていた」

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