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遠藤航は浦和に何をもたらしたのか。
西川、柏木が語るその「価値と課題」。
posted2016/02/29 18:10
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
浦和レッズだけである。
ACLに出場している4チームのなかで、ACL第1節とJ1リーグの開幕節に連勝したのは、ミハイロ・ペトロヴィッチのチームだけなのだ。
2月24日のACLは、ホームゲームだった。真夏のオーストラリアから来日したシドニーFCは、広州恒大(中国)、浦項スティーラーズ(韓国)を含めたグループステージでもっとも与しやすい相手である。シーズン最初の公式戦とはいえ、絶対に負けてはいけないゲームだった。
付け加えておけば、ペトロヴィッチ監督のもとで挑んだ'13年と'15年のACLは、いずれも黒星スタートだった。'13年は広州恒大に完敗し、昨年は水原三星ブルーウィングスに逆転負けした。アウェイで喫した2つの黒星は、グループステージ敗退の一因となった。それもまた、シドニーFC戦が重要と考えられていた理由である。
浦和の変化の兆しは、ピッチに現れている。
そして2月27日のJ1リーグは、アウェイゲームだった。ペトロヴィッチ監督が就任した2012年以降、Jリーグの開幕節は3勝1敗と相性がいい。'13年以降は3連勝を飾っている。
対戦相手の柏レイソルは、大幅に陣容を変えていた。長くゴールマウスに君臨した菅野孝憲が京都サンガへ新天地を求め、鈴木大輔とエドゥアルドの両センターバックがチームを去った。昨季チーム最多得点のクリスティアーノ、同2位の工藤壮人の名前も、メンバーリストから消えている。
主力クラスがこれだけ抜ければ、チーム作りには時間がかかるものだ。指揮官も交代している。
ところが、ミルトン・メンデス新監督を迎えた昨季年間10位の柏は、浦和を執拗に苦しめた。新外国人FWディエゴ・オリヴェイラの推進力を強みに、迫力のある攻撃を展開した。
どちらの試合も、ストレスのかかるものだった。
それでも、浦和は勝利をつかんだ。
だから今年のチームは違う、と見なすのはまだ早い。だが、変化の兆しはピッチに現われている。