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遠藤航は浦和に何をもたらしたのか。
西川、柏木が語るその「価値と課題」。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/02/29 18:10
2015年シーズン前にもオファーを出していた浦和にとって、遠藤航はどうしても必要な選手だった。
遠藤航がソリッドな守備と多様な攻撃をもたらす。
「すべての大会で昨季以上の結果を目ざす」と話すペトロヴィッチ監督は、そのための手段として「高い位置でのボール奪取」を掲げている。時間帯やスコア、戦況に応じて柔軟に対応するものの、ディフェンスも敵陣でやり切ろうというのが基本的なスタンスだ。
チームをワンランク上へ導く戦略の実現を促すのは、新加入の遠藤航である。球際の強さとボールを奪ったあとの飛び出し、クロスやシュートの質の高さや豊富な運動量といった彼の特徴は、ディフェンスをこれまでよりソリッドにし、攻撃に多様性をもたらす期待がある。
背番号6を背負う23歳は、国内有数のポリバレントなタレントだ。昨年まで所属した湘南ベルマーレでは、3バックの右サイドを定位置としつつ、センターバック、ボランチ、さらには2シャドーの一角でも起用された。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の日本代表には、右サイドバックでデビューしている。
マルチな才能は浦和でも大いに生かされるはずで、ひとまずはベルマーレと同じ「3バックの右」に軸足を置くことになりそうだ。シドニーFC戦ではボランチで途中出場したが、柏戦では最終ラインの右サイドで起用された。
西川周作、柏木陽介が語る遠藤の価値と宿題。
「ボールを奪う力に優れているし、後半のキツい時間帯でもワンプレーでボールを奪い取ってくれる。空中戦も強い。後ろから見ていて、すごく頼もしかったですね」
2-1で勝利した柏戦後、GK西川周作はこう話した。チームを最後尾から見守る守護神の肌触りは、浦和に新たな強みが搭載されたことを示している。球際の強さは中盤の攻防に厚みをもたらし、攻撃のスイッチとなる場面もあった。
もちろん、課題はある。遠藤がボールを持ち出したあとの守備のバランスは、チーム全体で整えていかなければならないだろう。
「ワタルが上がった後のスペースを相手に突かれる場面があったけど、攻め上がればチャンスが広がるわけだから、そのあたりの使い分けをしっかりやっていきたい」
柏木陽介もそう話している。