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MotoGPはルール変更で混戦の予感。
ただ1人ロレンソが好調な理由は?
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2016/02/14 10:30
ワークス勢の中でただひとりベストタイムを更新したロレンソ。連覇へ向け、視界良好だ。
V4に比べ、影響の少なかったヤマハとスズキ。
一方、直4エンジンを搭載するヤマハは、V4に比べるとマイルドなエンジン特性から、これまでも馬力より乗りやすさに重点が置かれていた。それに最新の制御を組み合わせて好リザルトを残してきたが、共通ソフトウエアの影響はホンダやドゥカティよりも少なかったようだ。
その傾向は直4エンジンを搭載するスズキも同じで、ビニャーレスとエスパルガロ兄がともに2分01秒台をマーク。共通ソフトウエアの採用でパフォーマンスは落ちたが、V4勢ほどではなかった。さらに、3強ワークスに続いて投入されたシームレス・ミッションで競争力を上げることにも成功した。今年はアプリリアとともにシーズン中もエンジン開発が出来るだけに、そのメリットを最大限生かしていくことになりそうだ。
ただひとりベストタイムを更新したロレンソ。
今年、思ったほどタイムが伸びなかったもうひとつの要因は、2日目の午前中にバズが原因不明のタイヤトラブルで転倒したことにある。その原因が解明されるまでソフトタイヤの使用を中止することになったことも、タイムが全体的に伸び悩んだ理由のひとつだった。
その中でディフェンディングチャンピオンのロレンソが、ワークス勢ではただひとり、昨年同時期のベストタイムを更新する好調なスタートを切った。ロレンソは、'16年型と'15年型の車体の比較テストから始めたのだが、あっという間に'16年型に見切りをつけて'15年型でタイムを更新していく。ヤマハ陣営はブリヂストンよりもミシュランのタイヤがフロントのグリップが不足する点に対策を施すべく車体を作り替えてきたのだろうが、ミシュランタイヤのフロントタイヤが大幅に進化したことで、結果的に'15年型とのバランスが良かったようだ。
開幕戦まで残るテストは、オーストラリアとカタールの2回。次回のオーストラリアテストに向けて各陣営がどんな対策を施してくるのか。実に興味深いところである。