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MotoGPはルール変更で混戦の予感。
ただ1人ロレンソが好調な理由は?
posted2016/02/14 10:30
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
ソフトウエアの共通化とミシュランタイヤへのスイッチで、今年のMotoGPは波乱のレースが続くことが予想される……と前回のコラムで書いたが、公式テストは予想通り波乱の幕開きとなった。
共通ソフトウエアの実施でもっとも大きな影響を受けたのは、最先端の技術をふんだんに盛り込んだ独自ソフトウエアを搭載してきたワークス勢だった。昨年はマルケスの1分58秒867をトップにホンダ、ヤマハ、ドゥカティの3強ワークスの6人が軒並み2分を切る好タイムをマーク、上位を独占した。
しかし今年は、ロレンソの1分59秒580をトップに2分00秒台にロッシ(4番手)とマルケス(5番手)、2分01秒台にイアンノーネ(8番手)とペドロサ(11番手)、そしてドビツィオーゾ(15番手)という結果だった。
ほとんどのライダーがタイムを落とした。
単純に1年前のテストのベストタイムと比較すれば、ホンダ勢のマルケスは約2秒後退して、ペドロサは1.6秒落ち。ドゥカティ勢はイアンノーネとドビツィオーゾがともに約1.8秒落ち。比較的順調だったヤマハ勢でも、ロッシが約1.1秒落ちた。
ロレンソだけがただひとり1分59秒台をマークして、昨年のベストをわずか0.044秒上回った。
もちろんホンダ、ヤマハ、ドゥカティの3強ワークスは、シーズン中のエンジン開発が禁止されているため、開幕までにエンジンのスペックを決める必要があり、そのためのあらゆるテストをこなさなければならない。メーカーのサテライトチームやプライベートチームのように、走り込みやセットアップに専念しているわけではない。なので単純に比較は出来ないが、それでも去年までの状況と比べれば一歩も二歩も後退した印象だ。
今回のテストでタイヤに関しては概ね好評だっただけに、共通ソフトウエアの実施がタイムにもっとも大きな影響を与えたことは間違いない。