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スズキが躍進、ホンダはまだ学習中。
横一線のMotoGPで抜け出すのはどこ?
posted2016/02/29 10:30
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
オーストラリアのフィリップアイランドで行なわれた今季2回目のMotoGPの公式テストは、トップから1秒差以内に16台がひしめき合う予想以上の接戦となった。
首位につけたのはビニャーレスで、2日目に初のトップタイムをマーク。3日目は2番手にポジションを落とすも、総合で首位をキープした。ビニャーレスは、'13年のMoto3チャンピオンで、'14年にはMoto2で総合3位。その速さと将来性を買われ、とんとん拍子でMotoGPに4年ぶりに復帰を果たすスズキ・ワークス入りを果たした。デビューシーズンの昨年は、6位を最高位に総合12位でルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。
速さに理解が必要な3つの原則。
ビニャーレスの走りのセンスの良さは誰もが認めるところ。止める、曲げる、加速させるというバイクを速く走らせる3原則を正しく理解しているライダーのひとりである。そのため、経験値を上げた分だけタイムを上げて、マシンのパフォーマンスが向上した分だけタイムを削ってくる。
年齢は21になったばかりだが、そういうライダーだけに、バイクの仕上がりが如実にタイムに反映するし、コメントにもぶれがない。結果的にスズキのマシン開発に大きな貢献を果たしている。
そのビニャーレスが、今季初のテストとなったマレーシアのセパンでは、ライバル陣営同様に、今年から採用される共通ECU(エンジン・コントロール・ユニット)の共通ソフトウエアの合わせ込みに苦労した。
しかし、2016年型エンジンのパフォーマンス向上と、ライバルメーカーに遅ればせながら投入されたシームレス・ミッション(シフト操作でタイムラグがなく、マシンの挙動に変化もない)の効果で、それほどタイムの大きな落ち込みはなく12番手で初テストを終えていた。そして、シーズンを通して好きなサーキットのひとつだというフィリップアイランドでは、MotoGPで初のトップタイムをマークしたのだ。