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浦和の9番、10番、13番に新たな主が。
偉大すぎる先人は重圧か、刺激か。
posted2016/01/21 10:40
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
先日施行されたマイナンバー制度は、大きな話題を呼んだ。だが、サッカー選手にとっては背番号こそが、固有のナンバーだ。もともとはポジションを表す記号に過ぎなかったが、世界的に選手が自分の背番号を持つようになってからは、その印象が特に強い。
チームによっては、特定の背番号が特別な意味を持つ場合もある。例えば、マンチェスター・ユナイテッドでは「7」がエース番号として認識される。また、ヨハン・クライフの「14」のように、特別な選手がつけた番号にはそのイメージが色濃く残る。
それでも、「10」がチームのエースナンバーであるという印象は、おそらく世界各国で共通だ。
今季の浦和レッズでは、その番号を柏木陽介が背負うことになった。浦和で日本人選手がこのナンバーを背負うのは、実は1998年から2000年の福永泰以来。21世紀に入ってからは、初の日本人10番が誕生したことになる。
自分にプレッシャーをかけるタイプではない?
「何かタイトルを取るために一つ変化を与えたい。自分に変化を与えたい」
10番を背負うことを決意した理由を問われた彼は、そう答えた。
これまでに、柏木が10番を身に着けてプレーしたのは、サンフレッチェ広島時代の2008年と'09年の2年間のみ。'10年からの浦和での6年間はずっと「8」が背中にあった。そこには、「8番にこだわりがあったし、8番の、浦和レッズの柏木陽介を分かって欲しかった」という思いもあったと話した。
それに加え、あくまでも私の印象としてだが、彼自身は自分で自分にプレッシャーを掛けることを好むタイプには見えなかった。
それは、昨シーズンに彼が「~~しなければいけないという精神からは脱却した方がいい」という言葉を残したことから受けた印象でもあるし、重圧から解放されている時ほど、好プレーが多かったようにも思う。それだけに、10番への背番号変更は意外だった。
柏木自身は「常にいいプレーをするという気持ちは変わらないし、重たいものを背負ったという気持ちにはならない」という。その一方で、「自分にプレッシャーを与えながら、楽しいシーズンを送りたい」とも話した。