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浦和の9番、10番、13番に新たな主が。
偉大すぎる先人は重圧か、刺激か。
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/01/21 10:40
年末のJリーグアウォーズにも登場した武藤(左)と柏木。重たい背番号は、彼らの成長を加速させるだろうか。
武藤「大事なところで点を取れる選手に」
武藤にとっては多くのゴールを決め、ブレイクした昨シーズンだったが、忘れられない瞬間がある。
それは、チャンピオンシップ準決勝のガンバ大阪戦。1-1の同点で推移した後半終了間際、武藤にはビッグチャンスが訪れた。しかし、至近距離から放ったヘディングシュートは、GKの東口順昭にはじき出された。その後、浦和は延長戦の末に敗北を喫し、年間王者への道が閉ざされた。後半のタイムアップ、そして延長の終了時、武藤は2度ピッチに崩れ落ちた。責任を痛感したからだ。
試合後のミックスゾーンでそのシーンに話が及んだ時、目を赤く染める彼の姿に、こちらまでもらい泣きしそうになった。それだけ、無念さがこもっていた。しかし今後は、エースナンバーを背負う選手だからこそ、昨季以上に勝負を決めるゴールが求められる。
「あれを決めれば勝っていたと思う。ああいうのをたくさん決めていきたいし、決め切れる選手になりたい。最後はゴール前。僕は前線の選手として、大事なところで点を取れる選手になっていかなくてはいけない」
あの日の悔しさを胸に、タイトルの懸かった大一番を自身のゴールで決めた時、武藤は背負うものの存在に追いつくことになる。その時、彼が浦和の「9」をつけていることに誰もが納得するはずだ。
浦和の13番は15年間1人のものだった。
「10」と「9」は、誰もが特別な番号と認識しているものだ。
一方で、浦和というチームにとって特有の意味を持つ番号を継承した選手もいる。
「新しい背番号13を自分色にしていけるようにと、啓太さんにも言ってもらった」
これは、昨季限りで現役を引退した鈴木啓太の「13」を背負うことになった高木俊幸の発言だ。2001年から15年間、その番号を背に浦和の中心選手として活躍してきた偉大な先人から「13」を託された。