JリーグPRESSBACK NUMBER
浦和の9番、10番、13番に新たな主が。
偉大すぎる先人は重圧か、刺激か。
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/01/21 10:40
年末のJリーグアウォーズにも登場した武藤(左)と柏木。重たい背番号は、彼らの成長を加速させるだろうか。
ポジションがどこでも、10番らしいプレーを。
すでに始動している'16年シーズンで、柏木が昨季に定着したボランチを務めるのか、前線の一角に入るのかは分からない。鈴木啓太が現役を引退したが、U-23日本代表の遠藤航や、新外国人のブランコ・イリッチなど、最終ラインやボランチなど守備の選手が浦和に加わった。さらに、昨季は大きな負傷がありほぼシーズンを棒に振った石原直樹がすでに合流しているため、実質的に前線の枚数も1人増える。
それでも、いわゆるトップ下の“ファンタジスタ”としての顔も、イタリア代表のアンドレア・ピルロのように後方からのビルドアップで違いを見せつける“レジスタ”としての顔も合わせ持つ彼ならば、その背番号に違和感のないプレーを見せてくれるはずだ。
福田正博の9番は武藤雄樹の背中に。
10番と同様に、エースナンバーとして定着しているのは「9」だ。特に浦和では、背番号が固定された1997年シーズン以来、福田正博という名前がその代名詞となってきた。Jリーグ開幕から「ミスターレッズ」と呼ばれ、日本人として初めてリーグの得点王を獲得したストライカーの存在は大きく、特別な番号として認識されてきた。
2016年の浦和では、そのナンバーを武藤雄樹が背負う。昨季、ベガルタ仙台から移籍加入した武藤は、チーム内得点王になる活躍を見せた。日本代表でもデビュー戦でゴールを決めるなど、大ブレイクを果たしたといえる。そんな彼に対し、このオフにチームは9番を打診し、考える時間を与えたという。
「少し考える時間をもらった上で、つけたいと思いました。これから浦和レッズで活躍したい、エースになりたいという気持ちです。もちろん、歴代のエースの選手がつけてきた番号で、福田さんが9番をつけてレッズで活躍し続けたイメージもあります。原口(元気、現ヘルタ・ベルリン)選手もそうだけど、浦和で愛された選手がつけてきた番号ですよね。僕はそこまでたどり着いていないですけど、着ることでふさわしいプレーヤーになっていこうと思っています」
武藤は、背番号に追いつくことがテーマだという言葉を話した。今の自分を成長させるために、その番号を身につける。そして、その番号にふさわしい存在だと認められれば、自分は成長しているはずだという考え方だ。