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五輪代表を襲う「またか」の問題。
遠藤航離脱で問われる“余白”の力。
posted2016/01/08 11:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
またか、で、まさか、である。
手倉森誠監督が率いるU-23日本代表には、'14年1月のチーム結成当初からアクシデントが付きまとった。海外遠征でも国内合宿でも、メンバー発表後の選手の差し替えや離脱が繰り返されてきた。国際大会が始まってから、選手が戦線離脱したこともある。
そうした事態に直面するたびに、手倉森監督は「与えられた環境のなかでどれだけできるのかを、我々は試されているんだ」と話してきた。難局を前向きにとらえてきた。「選手の差し替えはいつもあるから、もしこの選手に何かあったらどうする……ということも考えている。選手の使いかたに、余白を持っているというかね」と、説明していたものだ。
それにしても、今回の「またか」はチームに重くのしかかる。
1月13日にリオ五輪アジア最終予選の初戦を迎えるチームから、キャプテンの遠藤航がいきなり離脱してしまったのだ。開催地カタール入り直後の1月3日夜に、インフルエンザを発症したのである。
回復が順調なら、13日の北朝鮮戦には間に合う。ただ、少なくとも5日間連続の安静が必要な状況で、すぐにトップフォームへ持っていけるとは考えにくい。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督のもとで日本代表へ招集され、今オフに湘南ベルマーレから浦和レッズへの移籍を発表したキャプテンを欠くなかで、グループリーグ序盤を戦うことも覚悟しなければならない。
まず21人を選び、2人枠を残して合宿に突入。
手倉森監督が「チームのへそ」と表現するボランチの遠藤は、取り換えの利かない選手である。逃げ切りの局面ではセンターバックでの起用も見込み、昨年12月の石垣島合宿では最終ラインでもプレーさせていた。
しかしキャプテンの離脱という緊急事態で、昨年末の追加招集が意味を持ってきた。
手倉森監督は最終予選に出場する23人のうち、昨年12月18日に21人を発表した。残る2人は石垣島での合宿を経て、同30日に決定するスケジュールを組んだ。
ギリギリまで決断を先送りしたふたつのピースは、どのポジションに充てられるのか。攻撃の選択肢をできるだけ増やすためにも、浦和レッズで好調さを示してきたサイドアタッカーの関根貴大や、トップ下など複数のポジションをこなせる鎌田大地(サガン鳥栖)の招集が予想された。昨年12月のU-22イエメン戦、ウズベキスタン戦がいずれもスコアレスドローに終わったことで、「いかに点を取るのか」がクローズアップされていたのだ。