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朝日杯FS、デビュー1カ月でGI制覇。
武の偉業遮ったリオンディーズの鬼脚。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2015/12/21 11:30
一度はエアスピネルが完全な形で抜け出し、圧勝かと思われたが……。
甦った10年前のオークスの記憶と、ディープ。
母シーザリオは、角居調教師の管理下で新馬、500万下、フラワーカップと3連勝して桜花賞に臨み、追い込み及ばず頭差の2着に惜敗したのち、日米のオークスを制覇。故障のため、6戦5勝2着1回という成績で現役を退いた。第3仔のエピファネイア(父シンボリクリスエス)は、2013年の菊花賞、翌'14年のジャパンカップなどを制している。
エアスピネルの母エアメサイアは、桜花賞4着、オークス2着と、ともにシーザリオに先着されたが、同年の秋華賞を優勝。翌'06年のヴィクトリアマイルで2着に惜敗したのを最後に引退した。繁殖牝馬としてこれまで目立った活躍馬は出しておらず、第4仔であるこのエアスピネルがダントツの出世頭だ。
リオンディーズの父も、エアスピネルの父もキングカメハメハである。血統というのはそんなに単純なものではないのかもしれないが、父が同じなら、母同士の能力や適性、性格などの違いが、そのまま息子たちに色濃く出てくるのではないか。
そんなことを考えていると、自然と10年前のオークスの記憶が蘇り、翌週のディープインパクトのダービーのゴールシーンまで浮かんできて、――そういえば、今年の朝日杯にはディープ産駒は一頭も出ていなかったな。と、また今の競馬に思考のベクトルが戻ったりしている。
こういうのも競馬ならではの面白さだな、とつくづく思わされた週末であった。