月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
プチ鹿島が11月のスポーツ新聞を切る!
梨田監督と力道山の偉大さを考える。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/12/01 10:40
岡山県・倉敷市で行われた楽天の秋季キャンプにて。リラックスした表情を見せる梨田監督。
意外にもプレミア12が大人気……なぜ?
私はデイリーの安定さもたしかに面白かったのだけど、一気に小久保監督が叩かれている図が、国際大会のアツさの裏返しを見せつけられるようでちょっと怖くなったのだ。
オヤジが激怒してる様子が見出しから伝わってくるではないか。そういう感想があるか実験してみたのだけど、デイリーのマイペースぶりに多くの人は目がいったようだ。
それにしても今回の「プレミア12」。「WBCとなにがちがう?」「メジャーが参加しない国際大会なんて意味がない」という意見もあるなか、開幕してみれば高視聴率連発。
あれ? 地上波での野球中継って視聴率が取れなかったはず。
ひとつのポイントが「わかりやすさ」だろうか。「国際大会での日本の試合」という大きなテーマはとてもわかりやすい。
野球の視聴率が下がったのは理由は明白!
地上波での野球の視聴率が下がったのは野球人気が下がったのではなく、巨人の全国人気が下がったことに尽きる。
これは巨人の責任というより、各都市にフランチャイズ球団ができて「オラが街のチームを応援する」が実現したことが大きい。
「オラが街のチームだから応援する」というのはそのまま「オラが国のチームだから応援する」につながる。単純で見方がわかりやすい。(となるとグローバリズムにもローカリズムにも関係ない「ふつうの巨人戦」がぼんやりするのは当然ではないか)
そう考えたら力道山はやっぱりエラかった。プロレスという、ジャンル自体よくわからない観客に「対外国人との対決」で一夜のうちに熱狂させたのだから。あれは「絶対に負けられない」国際試合の元祖だ。
今回のプレミア12に対し、国際大会としての意義を問う声もある。だけど「よくわかんねえけど、とりあえず日本負けるな」という盛り上がり方は、まさに力道山が仕掛けた「目の前のおもしろい興行」と同じだったのでは?