月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
プチ鹿島が11月のスポーツ新聞を切る!
梨田監督と力道山の偉大さを考える。
posted2015/12/01 10:40
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
NIKKAN SPORTS
セ・リーグの監督はすべて40代になった。流れは一気に世代交代のムード。
しかしベテラン監督も負けてはいない。というのもスポーツ紙的には気になる人がいるのです。楽天の新監督に就任した梨田昌孝監督である。
日々、報道で目に入ってくるのは梨田監督のダジャレ情報なのだ。もともとダジャレ好きとして知られる梨田監督だが、今回の就任であらためてスポーツ紙に大きく取り上げられている。
ドラフト会議で指名したオコエ瑠偉と初対面したときは
「“るい”に出られるように。出“るい”が多くなるように期待しています」
「メジャーはまず“ユメ(夢)ジャー”でいい。けど、FA権を取るまでは“ダメジャー”だね。」(共にスポニチ10月24日)
秋季キャンプ初日にはマスカットスタジアムで「まあ、スカッと勝つようにしたい」(スポーツ報知11月3日)。
審判団が本塁クロスプレーについての説明会をおこなうと、島倉千代子の代表曲「からたち日記」と「空タッチ」をかけた(スポーツ報知「梨田監督、キャンプでダジャレさく裂!」11月3日)。
キャンプ中のオフの時間もダジャレは止まらない。倉敷市内にある大原美術館を訪問すると「これは階段、あれはロダン」(スポニチ11月17日)。
もともとダジャレが好きなオヤジジャーナル(スポーツ紙、週刊誌)との親和性の高さ。野球のないシーズンオフは梨田監督のようなキャラクターはとくに重宝する。若いフレッシュな監督もいいけど、何度目かの監督就任でさらに「化ける」人を見るのも楽しみだ。
プレミア12報道、スポーツ紙の見出し比較。
さて、11月は「世界野球WBSCプレミア12」が予想以上に盛り上がった。準決勝の日本対韓国戦は「今大会最高25.2% 瞬間最高32.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)」(スポニチ11月20日)。
あの韓国戦、あの9回。日本は3点リードをひっくり返されて大逆転負け。翌日11月20日のスポーツ紙の見出しをみてみよう。
『大谷代え敗退 小久保監督の失敗』(日刊スポーツ)
『屈辱侍…韓国に逆転負け 小久保監督ざんげ 「自分のミス」』(サンスポ)
『小久保JAPAN 散る 継投ミス』(スポーツ報知)
『大谷快投ブチ壊し 侍JAPAN 継投ミス』(スポニチ)
『9回4失点 平田悪夢敗退』(東京中日スポーツ)
『天国の中村GMにV誓う 西岡巻き返す』(デイリースポーツ)
どうだろう、この見出し一覧。私はちょっと実験してみたのです。全紙の写真を並べてツイッターに投稿してみたのだ。感想や解説はなにもつけずに。どういう反応、感想があるか知りたかったのです。
すると、「ブレないデイリー」「安定のデイリー(笑)」という、日韓戦よりも阪神の選手を見出しにもってくるデイリースポーツに対しての感想が一番多かった。