プロ野球PRESSBACK NUMBER
横浜スタジアムTOBの命運を握る?
“最大勢力”市民株主たちの「声」。
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byAFLO
posted2015/11/27 10:50
国有地である横浜公園内に立地する横浜スタジアム。中華街や元町など繁華街に隣接する絶好のロケーションである。
横浜スタジアムの所有権は、そもそも横浜市に!?
理事の山田氏が言う。
「オーナーズシートは会員の大きな特典。当時、席がもらえるのならと出資を決めた人がほとんどだった。ただ、株に紐づいている株主優待とは違って、あくまでオーナーズ・クラブの会員としての権利です。誤解している人も多いようですが、今回のTOBで株を売ったからといってクラブから除名されるわけではなく、オーナーズシートの権利がなくなることもありません」
オーナーズ・クラブへの優待席の提供は当初の約束で45年間と定められており、2023年3月までの残り7年間は、株を売却したとしても好きな時に野球を見に行けることになる。
こうした損得勘定とは別に、プロ野球の球団が横浜スタジアムの経営権を握ることで、市民球場としての性格が失われるのではという懸念の声も挙がっているという。だが「その点も誤解されている」と山田氏は説明する。
「横浜スタジアムという球場自体は横浜市の所有物(建設後に市に寄贈された)。株式会社横浜スタジアムはプロ野球を最優先にしつつ、残りの年の半分くらいはあくまで市の意向に沿って球場運営を委託されているわけです。仮にTOBが成立したところで、大株主がベイスターズに変わるというだけであって、市の意向に基づく市民球場の性質を持ったスタジアム運営という大前提がこれまでと変わることはない」
「横浜に根を下ろす」という球団の覚悟を確認。
会長の竹村氏も、最初にTOBの話を耳にした時は、そこが気がかりだったという。
「(前身の)平和球場にベーブ・ルースやルー・ゲーリッグがやってきた時、私の親父が半分レギュラー、半分補欠みたいな形で試合に出てましてね。私自身も高校野球で大変お世話になったし、せがれも高校の時に横浜スタジアムで試合をした。私の野球に対する熱の入れ方は人一倍なんです。
横浜市民のための球場を作ろうというのが横浜スタジアム建設の出発点のひとつでした。そこは何度もDeNAさんに確認しましたが、これからも横浜に根を下ろしてやっていくというお話だった。実際、横浜に愛される球団になることを打ち出し、来場者数の増加という結果も出している。本気でここで商売をやっていくんだなという気持ちがひしひしと伝わってきました」