箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
全日本大学駅伝で起きた番狂わせ。
東洋大・口町亮はなぜ覚醒したのか?
posted2015/11/06 10:30
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Shunsuke Mizukami
11月1日に行われた全日本大学駅伝。優勝の大本命と言われた青山学院大学を破って、東洋大学が悲願の初優勝を果たした。
中でもポイントとなったのが大会MVPに輝いた、3区区間賞の口町亮(3年)の走りだった。
「勇馬さんと弾馬が普通に走ってくれれば先頭で来るんじゃないかとは思っていました。でも、いざ来てみると後ろとの差が気になって動揺して突っ込んでしまって。監督には『3kmまでは相手を付かせない、あきらめさせる走りをして、ラスト2kmでもう1回ペースアップ』という指示をされたんですけど。5km付近でコーチに後ろとの差が詰まっていると言われて『後ろが速いんだな』と思って焦りました。その分、最後に必死になってペースダウンしなかったのが大きかったと思います」
そう口町が振り返るように、1区と2区に起用された学生最強クラスの実力を持つ服部勇馬(4年)、弾馬(3年)の兄弟は、連続区間賞を獲得。ここで作ったリードをいかに維持して後半を迎えるかが、このレースの大きな分かれ目だった。総合力の高い青学大に先行するには、その意味で3区は非常に重要な区間だったのだ。
全くの無名から、一躍出雲に続き連続区間賞。
事実、青学大の3区を任された田村和希(2年)は、今年1月の箱根駅伝では4区で区間賞を獲った実力者であり、今回も区間記録まであと4秒に迫る好走で追撃を仕掛けてきた。それでも口町はその田村を1秒上回る激走を見せ、優勝への足掛かりを作ることに成功したのである。
口町は10月の出雲駅伝に続いての連続区間賞。だが昨年までは学生三大駅伝への出走経験すらなく、今季突然の大躍進を見せている。成長の理由を問われても、本人は戸惑い気味だ。
「みんなに聞かれるんですけど、本当に何も特別なことはしていなくて。練習もこれまでと大きく何か変えたとかはないんです。世間では青学の一強という評価だったんですけど、それを覆せたらいいなという想いはみんな持っていたと思います」