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来季の巨人は“楽天式”現場介入!?
原采配の重みと不穏な後任人事。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2015/10/16 11:00
いまだ去就が明らかでない原監督だが、その采配でヤクルトを撃破し、チームを日本シリーズに導くことはできるだろうか。
巨人もフロント主導のチーム作りを目論んでいる?
常識的に考えれば、この時期に続投要請がないということは、今季限りで任期切れの退任というシナリオの可能性が高いのだが、一部には日本シリーズを勝てば続投という声も聞こえてくる。一方、退任に備えて様々な名前が浮上しているが、なぜ原監督の続投が望ましくないかという理由に、危うさも漂うのである。
親会社である読売新聞社の一部には、本社とフロント主導のチーム運営を目指すべきという声があるという。どういうことかといえば、補強や選手の育成を含め一、二軍の入れ替えや、選手起用を監督ではなくフロントがコントロールできる組織作りを目指すべきという論理なのだという。
そのためには、実績のある原監督ではやりにくい。ならば新しい監督に交代させて一から親会社とフロント主導のシステムでチーム運営をやろうという意見があるようだ。要は楽天式に親会社が“現場介入”できるシステム作りが、監督交代の論拠ということなのである。
それを受け入れ、実現できる人材が次の監督候補という訳なのだ。要は本社とフロントのいいなりになる人材を監督にというのだから、どうにも本末転倒、本当に勝つための最善手としての選択なのか、という疑問が残ることになる。
数字に、現場の目を反映させて。
果たしてセイバーメトリクスだけでチームは勝つことができるのか? 断っておくが、統計学的戦略はチーム作りや作戦立案の中では今や必要不可欠な要素であることはいうまでもない。ただ、そこにいかに現場の目を反映させて最終決断するのか。それが監督の采配力であり、その差が実は土壇場で勝ち抜く力の秘密でもあるわけだ。
原監督がニヤッと笑って「カンだよ!」と語ったひとこと。そこには監督の采配への責任と重さ、そしてプロとしての自負が含まれているということなのである。