マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
ドラフト1位指名濃厚の剛速球右腕。
熊原健人のストレートを受けてきた。
posted2015/10/16 10:30

大学入学時は66kgだった体重もいまや86kgまで増えた熊原健人。そのストレートは上位指名必至のパワーだ。
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Masae Takahashi
今月22日のドラフト会議まで一週間を切り、各球団、最後の人選に追われる時期になった。
今年のドラフトは特に高校生、大学生の1位候補の投手の中に、故障中、もしくは故障上がりの選手が何人もいて、ただでさえわかりにくい“ドラフト模様”がさらにいっそう混迷の度を深めているのが実情といってよいだろう。
駒澤大の左腕・今永昇太、富士大の右腕・多和田真三郎、県岐阜商・高橋純平にこの夏の甲子園優勝投手である東海大相模・小笠原慎之介。これだけの“1位候補”が決断しにくい状況にあり、こんなに難しいドラフトもここ数年、いやここ数十年なかったのではないか。
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そんな中、ほんとのところはどうなのか?
数少ない“元気”な1位候補の快腕たち2人にお願いをし、9月下旬から今月上旬にかけて、その全力投球を捕球させていただいた。
その詳細は、雑誌『野球人』でもレポートさせていただいているが、ここではそれとは別の角度から、ドラフト直前の彼らの“ほんとのところ”をお伝えしたい。
仙台大学・熊原健人という逸材。
仙台大学・熊原健人。
全国的にはそんなに知られていない存在かもしれない。しかし、その球威と投げっぷりの良さは昨年、熊原投手が3年の春からとっくに注目されていた。
このシーズン、リーグ戦で4勝無敗、防御率1.71でMVPに輝いた熊原投手は宿敵・東北福祉大を抑えて、大学野球の甲子園である「全日本大学野球選手権大会」(神宮球場)に進んだ。
まさにちぎっては投げ、ちぎっては投げ。
その前の1年間で10キロスピードアップさせてきた剛速球はコンスタントに140キロ後半をマークし、落差の大きなカーブにタテの高速スライダー、フォークを交えて、チームも本人も初めての全国にもかかわらず、なんのひるみも、遠慮もない若々しいピッチングが痛く印象に残ったものだ。