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福西崇史がアフガン戦を解説。
得点を生んだ原口元気の長所とは。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph bySports Graphic Number
posted2015/09/17 10:00
「福西崇史の『考えるサッカー』」、配信は毎週月曜日の予定です。
受け手のスペースを生み出す動き。
福西:そう、重心の逆をとってね。相手が原口を警戒して寄せに来る。それはドリブルを仕掛けたい原口にとってみれば、引きつけた分だけかわすチャンスが増えることになる。そのタイミングを見逃さないで仕掛けに成功すれば、他の相手選手がカバーに回らなければいけないから……。
――他のボールの受け手に新たなスペースが生まれる。
福西:だよね。そこでタイミングよくパスをもらえれば、ボールを受けた選手は次のプレーの選択がスムーズにできる。そういった意味で、アフガニスタン戦での先制点は、原口の良さが上手く出たよね。あと原口自身も仕掛ける中で味方を使うってところが、ブンデスに移籍したことでより一層成長したところだと思う。
――確かに浦和時代、デビューしたての頃は周囲を使いながらというよりも、数的不利でも強引に仕掛けていくケースがありました。ペトロヴィッチ監督体制下になって以降、徐々に改善されていましたが……。
フィジカルの強いマーカーと戦う工夫。
福西:ここに来て一気に良くなってきたよね。あと、仕掛ける前のボールの受け方も成長している部分だよ。以前はパスをもらうための予備動作が足りなくて、ドリブルを仕掛けようにもなかなかボールが入らないこともあった。だけど、ドイツでフィジカルの強いマーカーと戦うためにはそういった工夫も常にしなきゃいけない、と気づいたはず。
――当たりが強い相手に対しての対策ですね。
福西:ボールを受ける回数が増えれば、自然とボールに触れる回数も増える。それを繰り返すことで原口はリズムに乗っていく選手だから。
――なるほど。
福西:ただし、この2試合の内容だけで原口を常時使っていく、というほど簡単な話じゃないのがサッカーの難しい、そして面白いところだよね。もし相手がアフガニスタン以上に積極的に前に出てくる相手だったとしたら、最終ラインの裏に大きなスペースができるし、日本がカウンターを仕掛ける機会も増えてくる。そういうケースでより良さが生きるのは武藤、って可能性もある。