サムライブルーの原材料BACK NUMBER
一回りふてぶてしくなった森重真人。
CBにとって重要な「それはそれ」。
posted2015/09/12 10:50
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Takuya Sugiyama
ドッシリと構えて、大きく見えた。
吉田麻也と森重真人のセンターバック「元祖MMコンビ」。
カンボジア、アフガニスタンを相手に守る機会そのものが少なかったとはいえ、焦ってフィニッシュの精度を欠くチームにビルドアップで落ち着きをもたらし、攻撃に積極的に絡んでいった。
吉田はカンボジア戦でミドルシュートを決めた。森重はアフガニスタン戦でセットプレーから折り返しのボールを蹴り込んだ。いずれもチームの2点目で、勢いをつける形になった。得点もさることながら、ドッシリとした佇まいで落ち着きをもたらした「LL」級の存在感には目を引くものがあった。
ことのほか「背番号6」が大きく見えた。
森重のトライが吉田のミドルを引き出した?
あのカンボジア戦、森重は前線に入れてくるボールに対して素早いチェックでマイボールにしていた。攻撃に出てこないカンボジアに対して守備に回る頻度は少なかったものの、ヘディングの競り合いひとつ「クリアだけじゃなくてつなぐ細かいところまで集中しよう」とこだわった。
「攻」でどう貢献できるか。
ビルドアップでは、中を固めてくる相手に対してサイドにボールを丁寧に散らしながらも、ときにフリーで持ち上がり、ときにシュートを狙えるポジションを取っておく。前半37分には大きく浮かせてしまったが、ドーンと音がするようなミドルシュートをぶっ放している。本田圭佑の強烈な無回転ミドルを弾けなかった相手GKを見て、敢えてパンチ力を強めたシュートを狙ったように思えた。
「(ミドルを打つタイミングは)ずっと狙っていましたよ。もうちょっと当たりが良ければ上に行かずに、無回転っぽく落ちてくれたかなと思ったんですけどね。ミドルは得意だし、麻也が決めてくれたみたいに、タイミングを見て上がってシュートを打てればな、と」
試合後、彼はそう言ってちょっと悔しそうに唇を噛んだ。
これが相棒の吉田にも火をつけたのか。後半、まさに「タイミングを見て上がった」と吉田が抑えの効いたミドルシュートを左隅に突き刺している。