ラグビーPRESSBACK NUMBER
ラグビーW杯のグループリーグ展望。
日本歴代最強チームが歴史を変える。
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byAFLO
posted2015/09/17 10:40
W杯へ向け、合宿で激しい練習に取り組む日本代表。まずはGL突破が目標だ。
スーパーラグビーに参加する選手が続々と。
戦力面で見ても、現在の日本代表は史上最強という売り文句に相応しい充実ぶりをみせている。これまでは国際経験の不足を指摘されることが多かったが、前回W杯終了後にSH田中史朗、フッカー堀江翔太らが続々と南半球のスーパーラグビー(NZ、オーストラリア、南アフリカのスーパークラブ対抗戦)にチャレンジ。
日本代表主将でもあるFWリーチ マイケルは、NZ最強チームの一角・チーフスでみごとナンバー8のレギュラーポジションを獲得した。バックスには早大の藤田慶和、筑波大の福岡堅樹、そして南アフリカのアカデミーで武者修行を重ねてきた松島幸太朗と、若きトライゲッターがチャンスを虎視眈々と待っている。
B組の4カ国の戦力は……?
日本は本大会ではB組に入り、9月19日に南アフリカ、次いで23日にスコットランド、10月3日にサモア、11日にアメリカという順番で対戦する。南アフリカはNZと並ぶ世界最強国の一角。世界最速ランナーと謳われるWTBブライアン・ハバナは通算トライ59で、日本の大畑大介が持つ世界最多記録にあと10と迫っている。
次に対戦するスコットランドは欧州6カ国対抗の強豪だが、この4年間で2度も全敗で最下位に沈むなど不振が続いている。日本にとっては1989年、相手側が非公式試合だったとはいえ、28-24で歴史的勝利を挙げた相手でもある。充分に勝利を意識して挑めるはずだ。
そして3戦目のサモアも手ごわい。'99年は春のパシフィックリムでは勝ったものの、W杯本番では9-43で大敗した。タックルでもアタックでも厳しいコンタクトを仕掛けてくる上に、選手にとってW杯は欧州のトップクラブのスカウトに自分をアピールするチャンス。'11年W杯でも、日本はそれまで5連勝と相性の良かったトンガに18-31で完敗した。W杯は別物と心してかかるべきだろう。
そして4戦目はアメリカ。日本にとっては'87年、'03年のW杯で勝利を期待されながら敗れた因縁の相手だ。フィジカルの強さと、スキル不足を補う迷いなき突進、失敗をまったく恐れないタフなメンタリティーは、下馬評を覆す力を秘める。日本がサモア戦から中7日で臨むのに対し、アメリカは南ア戦から中3日という過酷な条件だが、逆境でこそ力を出すのがアメリカ魂だ。警戒を怠らないようにしたい。