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ラグビーW杯のグループリーグ展望。
日本歴代最強チームが歴史を変える。
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byAFLO
posted2015/09/17 10:40
W杯へ向け、合宿で激しい練習に取り組む日本代表。まずはGL突破が目標だ。
今大会こそ、苦難の歴史を書き換えるチャンス。
しかし今大会は、そんな日本代表苦難の歴史を書き換えるチャンスだ。
日本代表は、前回W杯終了後の2012年から、2003年W杯にオーストラリア代表で準優勝、2007年W杯に南アフリカ代表のテクニカルアドバイザーで優勝を飾ったエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)を迎え、強化に励んでいる。
エディーHCは母が日系米国人で、妻も日本人、プロコーチとしてのキャリアを積み始めたのも日本で、1996年に日本代表のアシスタントコーチを務めて以降、サントリーの監督などで20年近く日本ラグビーと関わり続けてきた。
日本人選手の能力や性格を熟知しているエディーHCは、合宿では連日早朝5時30分からのウェイトトレーニングで選手のフィジカルを鍛え上げ、スクラム担当としてフランス人のマルク・ダルマゾ、ラインアウト担当としてイングランド人のスティーブ・ボースウィックというスペシャルコーチも招聘。従来日本の弱点だったボール争奪戦の戦力を格段にレベルアップさせた。
世界経験の豊富なエディーHCの手腕。
2013年11月、W杯の前哨戦として行われたアウェーのスコットランド戦は17-42で敗れたが、奪った2トライはスクラムで相手ボールを奪い、あるいは反則を得て速攻したものだった。日本は世界ランキングも'14年に最高9位まであげて見せた。
その世界ランキングだが、現在は13位まで低下した。と聞くと、何やら心配になってくるが、エディーHCは昨年5月にW杯出場権を獲得して以降、あらゆる場所で「これからはすべてがW杯への準備です」と公言。対外試合も「ここで勝つことだけを求めることはしない」と、勝負を度外視する姿勢を明らかにしている。
実際、今年7~8月のパシフィックネーションズ杯ではアメリカ、フィジー、トンガに3連敗を喫したが、その後はウルグアイとの2戦、W杯が行われる英国入り後のジョージア戦で3連勝と、調子をあげて本大会を迎えた。このあたりは、世界のトップで戦ってきた経験豊富なエディーHCならではの采配だろう。