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昨季のJ王者とK王者がACLで死闘!
アウェーでガンバが及第点のドロー。 

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吉崎エイジーニョ

吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki

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photograph byGetty Images

posted2015/08/27 12:15

昨季のJ王者とK王者がACLで死闘!アウェーでガンバが及第点のドロー。<Number Web> photograph by Getty Images

厳しいマンマークにあいながらも果敢にゴールを目指した宇佐美。最後まで攻めの姿勢だけは変わらなかった。

宇佐美をほぼ完璧に抑えたチェ・チョルスンだが。

 全北のチェ・ガンヒ監督は「チェ・チョルスンはよく役割を果たしてくれた」と働きぶりを評価。チェ本人も「2度、前を向いてのプレーを許したけれど、それ以外は技術のある相手をしっかり抑えられた」と口にした。その2度とはいずれも70分以降の出来事だった。試合のペースを握りながらも先制点を奪えない全北に対し、スタンドが少しやきもきし始めた時間帯と重なっている。つまりより攻勢に出たときに、マークがルーズになるシーンがあったのだ。

 この点では、押されながらも0-0の均衡を守り、「終盤勝負」に持ち込んだガンバの「勝ち」と言えた。長谷川曰く「ガンバらしくはなかった」と少し残念そうな表情を見せたが、韓国という厳しいアウェーの地でのドローという結果は、アジアのベスト8の戦いでの1つの成果だったのではないか。

全北がホームで見せた及び腰は地元で不満も……。

 一方の全北は、「宇佐美封じ」の戦略には成功したが、試合での結果は得られなかった。

 試合後の会見での韓国人記者とチェ・ガンヒ監督のやりとりが興味深かった。

「Kリーグ王者がホームで勝たなければならない試合に臨んだ。やはり、アンカーを使って、攻撃の枚数を1枚減らして戦うべきだったのでしょうか? 次の試合(9月16日の対戦)で使う戦術的なカードがあるとしたら、どんなものがあるでしょうか?」(韓国人記者)

 スタンドで見る限り、全北の攻撃は十分に迫力があったが、質問した韓国人記者の考えでは「まだまだ足りない」というものだった。王者が相手に合わせるようなことをすべきではないのではないか、と。

 チェの考えは、この大会でも採用される「アウェーゴール2倍ルール」を強く意識するものだった。

「失点を喫しないということも重要なこと。小スコア差で勝ってもホームで失点を喫してしまえば結果的に勝ち抜けなくなる。大量得点で勝つことが理想だが、相手もこの大会でベスト8まで勝ち上がってくるチーム。常に思っているようにはいかない。次の試合への戦略は、ここからじっくりと考えたい」

 いっぽう、初戦で重要な戦術的カードを切った全北に対し、ガンバの「相手エース対策」はこの試合中に有効性が再確認されたものだった。

【次ページ】 全北へのエース対策を見事にやり遂げた丹羽大輝。

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