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タイトルは、やっぱり嬉しかった――。
完全浦和目線の1stステージ所感。 

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近藤篤

近藤篤Atsushi Kondo

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photograph byAtsushi Kondo

posted2015/06/26 10:50

タイトルは、やっぱり嬉しかった――。完全浦和目線の1stステージ所感。<Number Web> photograph by Atsushi Kondo

「通過点でしかない」と言ってはいても、8年ぶりのタイトルは選手にとってもファンにとっても嬉しいものだったに違いない。

あのトロフィーは、危ないし、愛がない。

 試合後、ピッチ上にはセレモニー用のブースが設けられ、その中にレッズの選手と監督が入る。ペナント、賞金、そしてトロフィーが授与される。賞金は5000万、トロフィーは思いのほか小さいし、デザインもなんだか個人的には気に喰わない。

 ちょっと脱線させてもらうと、トロフィーのなにが気に喰わないって、月桂樹をイメージしたという鋭角な金属片が何枚も貼り付いているというのが気に入らない。トロフィーというのは、少なくともサッカーの世界においては、まずキャプテンが受け取り、力強く天に向かって掲げ、そのままビクトリーランをして大騒ぎになり、最後はサポーターの前でさらにもう一度力強く掲げ直すものだろう。そんな常識が、もっと大げさに言うとサッカーへの愛情が、このトロフィーには全く感じられないのだ。あのトロフィーは、危ないし、愛がない、マジで。

表彰式でチェアマンが浴びたブーイング。

 話を戻そう。

 Jリーグチェアマンが表彰式に登場したとき、浦和レッズのサポーターからはものすごいブーイングが起こった。おめでたい席での大ブーイング、選手の中には手のひらを下に向け、落ち着け、抑えろ、のジェスチャーを示すものもいた。

 ブーイングの理由は明確だった。浦和のサポーターは(もちろん全員ではないけれど)Jリーグが今回導入したシステムに反対だった。リーグ戦を前期と後期にわけ、さらにチャンピオンシップという奇異なシステムを導入して人気回復とスポンサー料の確保を計ったJリーグという組織に、浦和のサポーターはかなりしつこく抵抗の意を示し続けた。

 それでも、Jリーグはこのシステムを導入し、2015年シーズンはスタートした。

 面白いものだ。結果的に、彼らが猛反対したシステムは、彼らの応援するチームを後押しすることになった。

 昨年も、一昨年も、ペトロビッチの率いる浦和レッズは序盤から中盤にかけては調子がよかったのだが、優勝が近づけば近づくほど失速し、そしてシーズンの最後には誰もが、ふざけんなよ、やるきあんのかよ! と捨て台詞を吐く羽目に陥ってきた。

 ところが今季はリーグのシステムが変わった故に、彼らが心から愛する浦和レッズは、彼らが猛反対し続けた新システムのファーストステージ覇者となり、賞金をもらい、そしてここが極めて重要なことなのだが、レッズの選手と監督はたぶん大きな自信を手に入れた。

【次ページ】 散々バカにしても、やっぱりタイトルは嬉しい。

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