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タイトルは、やっぱり嬉しかった――。
完全浦和目線の1stステージ所感。
posted2015/06/26 10:50
text by
近藤篤Atsushi Kondo
photograph by
Atsushi Kondo
6月20日、東京駅から乗った新幹線の座席ナンバーは、11号車の11番E席だった。
(きっと今日はいいことがあるに違いない)
新神戸駅に着いたのは午前11時過ぎ。昨晩まで降っていた細かい雨はやみ、明るい曇り空が神戸の空をおおっている。
(ほら、天気まで僕たちを応援してくれているじゃないか)
キックオフまではまだ時間があったので、地下鉄に乗って三宮駅まで行き、駅近くにある神戸牛のステーキレストランに入った。
A4サイズのランチメニューは上段と下段に分かれていて、上段は普通の神戸牛のランチセット、もも肉120gで3600円、下段はチャンピオン神戸牛のランチセット、希少部位肉120gで6500円(!)と書かれてある。迷わず(ほんとはちょっと迷ったけど)、チャンピオン牛の方を選んだ。
たかがファーストステージのタイトルに、僕はどこまでゲンを担ぐんだ? 僕はステーキを待ちながら自問自答する。
(いやいや、長い間、浦和レッズを追いかけてきた人間なら、今日はゲンでも何でも、担げるものなら全部担ぐさ)
トップを走って最後に失速する、という浦和の方程式。
2007年のACL優勝、このタイトルを最後に、浦和レッズはまったく勝てなくなった。天皇杯、ナビスコ杯、そしてJリーグ。8年間、まったくダメな年もあれば、かなり惜しい年もあったが、獲得したタイトルは結局ゼロ。特にここ3年、2012年にペトロビッチ監督が就任して以降は、序盤からトップを走って最後の最後で大失速、『涙と怒りの方程式』を繰り返してきた。サッカーファンだという小学校5年生に、こう聞かれたことさえある。「ねえ、浦和って、強いの? 弱いの?」
それ以前のレッズに比べれば、ペトロビッチ監督のチームがずっと質の高いサッカーを披露したことは事実だが、そのサッカーがサポーターの心をがっしりと掴んだかというと、そうでもない。中盤から後方でひたすら相手の出方をうかがいながら、冗長なテンポでボールを回し続け、ときどきジャブを打ち込む。そんなチームの戦い方に、スタジアムに集まった人々が苛立ちを隠しきれなかったことは多々あった。