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タイトルは、やっぱり嬉しかった――。
完全浦和目線の1stステージ所感。
text by
近藤篤Atsushi Kondo
photograph byAtsushi Kondo
posted2015/06/26 10:50
「通過点でしかない」と言ってはいても、8年ぶりのタイトルは選手にとってもファンにとっても嬉しいものだったに違いない。
今季は本当に強く、見て面白いチームに変貌した。
そのレッズが、今季は本当に強いチームになってきた。強くなっただけではない。見ていて面白いチームにも変貌した。押す時は押しまくり、耐えるべき時は耐え、ボールを奪った後の前へのスピードも増し、時には個の力で窮状を打開し、時には集団で相手を圧倒する。
仙台から移籍してきた武藤が大ブレイクし(誰もそんなに期待はしていなかった)、若手の関根は昨年以上に右サイドで90分仕掛け続け、スタンドを沸かせる。
前線の3人、興梠、李、そして新加入のズラタンの3人は、誰が出場してもしっかりと働き、結果も残せる。特にズラタン、これだけのクオリティの選手が後半の途中から投入されたら、相手のディフェンダーはたまったものではないだろう。
前線が充実したことでひとつ後ろのボランチに入った柏木は、プレッシャーのかかるポジション故にプレーテンポが結果的に上がったし、守備のほうも短期間でずいぶん向上した。
そして、ペトロビッチ監督のサッカーの要とも言えるディフェンスラインの両サイド。左の槙野と右の森脇は、ポジショニングと判断が格段に良くなった。昨季までのレッズは、大事な試合になると必ずこの2人が興奮し、がむしゃらに前に突っかけ、結果的に裏をとられて失点するというパターンに陥っていた。
しかし今季の2人はどんな試合でも、沈着冷静に各々の役割を果たしている。実際のところ、この2人の守備力(そして攻撃力も)は極めて高い。守る気になれば、相手が宇佐美貴史だろうと、武藤嘉紀だろうと、抑えきれるだけの能力はあるのだ。
ゲンを担ぐのは、決してサポーターだけではない。
16時5分。試合はヴィッセル神戸のキックオフで始まった。引き分け以上の結果を残せば、ここで浦和の優勝は決まる。
コイントスで勝ったキャプテン阿部勇樹は、あえてエンドの変更を選択した。彼は今季アウェーのゲームですでに二度、エンドの変更を行っている。ひとつは、川崎フロンターレ戦の等々力陸上競技場、もうひとつはベガルタ仙台戦のユアテックスタジアム、どちらもレッズが苦しめられてきた場所だ。
そして、ここ6シーズンで1分け5敗、ヴィッセル神戸のホーム、ノエビアスタジアム神戸も浦和レッズにとっては極めて相性の悪い場所のひとつだ。ゲンを担ぐのは、決してサポーターだけではない。