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タイトルは、やっぱり嬉しかった――。
完全浦和目線の1stステージ所感。 

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近藤篤

近藤篤Atsushi Kondo

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photograph byAtsushi Kondo

posted2015/06/26 10:50

タイトルは、やっぱり嬉しかった――。完全浦和目線の1stステージ所感。<Number Web> photograph by Atsushi Kondo

「通過点でしかない」と言ってはいても、8年ぶりのタイトルは選手にとってもファンにとっても嬉しいものだったに違いない。

目の前での優勝を防ぐべく、神戸は奮戦したが……。

 目の前で相手がトロフィーを掲げる場面を見たいプロサッカー選手はいない。

 前線の3枚とボランチの柏木が中心となって組み立てるレッズの攻撃に、この日の神戸は個々の激しい守備と、縦に速いカウンター攻撃で応じた。とてもリーグの下位に沈んでいるようなチームには見えない。

 前半27分、武藤の左からのクロスのこぼれ球を、ベテランの梅崎司が決めてレッズは先制する。しかし神戸は諦めない。32分にはゴール前に抜け出した小川が惜しいシュートを放ち、その7分後には、左CKから増川がドンピシャのヘディングシュートを放つ。前半、決定的なシュートチャンスは神戸の方が多かった。

「優勝を特別意識はしていない」という台詞を口にはしていたが、タイトル獲得のプレッシャーがかからない訳はない。後半、浦和レッズは神戸のロングボールに対して、じりじりとディフェンスラインを下げ始める。

 71分。浦和ベンチは先制点を決めた梅崎を下げ、前線にズラタンを投入し、さらに柏木に代えて守備能力の高いボランチ青木拓矢をピッチに送り出した。監督のメッセージは「このまま逃げ切れ」だったのだろう。しかしその戦術的交代の4分後、左サイドハーフの宇賀神友弥がこの日2度目の警告を受けて退場する。

昨年までなら、ロスタイムに逆転されていたに違いない。

 しかし、強くなった浦和レッズを実感したのは、ここからロスタイムの6分を加えた21分間だった。

 84分、レッズは相手の左サイドから元レッズの相馬が上げたクロスを中央で決められ、1-1の同点に追いつかれる。しかしレッズの守備網は慌てなかった。試合終了のホイッスルまで、ピッチ上の10人が肉体と精神の余力を出し切り、そのまま逃げきった(同点だから、逃げ切ったという表現は正しくないけれど)。

 昨年までの浦和レッズなら、6分のロスタイムで1-2の逆転負けを喫していたに違いない。

【次ページ】 あのトロフィーは、危ないし、愛がない。

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