プロ野球亭日乗BACK NUMBER
キューバ選手とどう付き合うか――。
「青田買い+日本式育成」という活路。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/06/05 10:30
キューバ出身、メンドーサの魅力は190cmの長身から繰り出される速球だ。昨季は二軍で4試合に登板して防御率1.59。来日2年目の今季、21歳の右腕は一軍でも輝けるか。
キューバルートの可能性を示す、新たな発掘方法。
やはり本国と日本の2つのリーグで1年中プレーするという“二毛作”プレーは、故障や疲労からくるリスクは避けられないと言わざるを得ないのかもしれない。
結論からいえば、これから米国とキューバの国交が正常化してMLBとの選手獲得の正式ルートが確立されたら、キューバリーグのトップクラスの選手が日本にやってくる可能性は極めて少なくなる。
それではキューバルートはもはやまったく魅力がないのかというと、実はそうでもない。新たな選手の発掘方法の可能性を見せたのが、6月2日に一軍デビューを果たした巨人のヘクター・メンドーサ投手のケースだ。
メンドーサは昨年、巨人とキューバ野球連盟が人的交流と野球技術の向上を目的として友好協定を結び、セペダの次に獲得した選手だ。
契約の段階ではまだ19歳で、2011年から国内リーグの「ラ・イスラ」でプレー。在籍中の'13年にヘスス・モンタネ・オロペサ大学に進学した、昔風にいえば“学士プロ”である。それまでWBCでの代表経験もない、まったくの無名選手だった。
青田買いをして、日本流で育てる。
「キューバのバッターがストレートに強いということもあって、代表入りしているピッチャーのほとんどが変化球でかわすタイプ。なかなか真っ直ぐに力のある本格派の投手はいないんです」
こう語るのは、獲得にあたった巨人の編成本部・三井康浩統括ディレクターだ。
「現地で練習を見て、真っ直ぐに力があるなと思ったのは2人だけでしたから。その内の一人がメンドーサでした。ボールの力はもちろんですが、角度があって回転がいい。3球見て、これだって決めました」
要は“青田買い”である。
まだまだ代表入りとまではいかない選手でも、中南米選手独特のバネと体の強さを持ったセンスのある選手はいる。そういう選手を発掘して、“日本流”で育て上げる。