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白村明弘と西浦直亨、3度目も神宮で。
高校、六大学、プロと繋がる「因縁」。
posted2015/06/04 10:30
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
NIKKAN SPORTS
現時点では、誰にも注目されていない対決だった。
5月27日の日本ハム対ヤクルト。
4時間を超す大熱戦となった試合は、延長12回裏、2死満塁の場面で日本ハム・白村明弘がヤクルトの西浦直亨を三塁ゴロに打ち取って、引き分けに持ち込んだ。
劇的な場面だったとは言えないかもしれない。だが白村は「運命かなと思った」と語り、西浦は「やっぱり僕は持っていなかった」と自嘲気味に笑ってこの対決を振り返っていた。
白村明弘と西浦直亨。
大卒2年目の23歳。ともに若手のホープとして期待される2人だが、実はここに至るまでに運命的な対決をしてきた2人でもあるのだ。
初対戦は2008年秋。2人がともに高校生だった時のことだ。
秋の高校日本一を決める明治神宮大会決勝で、慶應高・白村、天理高・西浦が初めて対峙した。
「全国レベル」を互いに意識した高校での初対決。
西浦はその時のことをこう回想している。
「衝撃やったっすね。(白村の)ストレートが浮き上がっているように見えました。高校野球で、こんなピッチャーは見たことがないというくらいでした。ものすごいストレートを投げていたので、もし自分がレベルの高いところでプレーするようになったら、白村みたいなピッチャーと対戦することになるのかなと。“全国レベル”というのを感じさせてもらいました」
一方の白村。
「高校の時のことは覚えています。僕は途中からの登板だったんですけど、試合をする前から『西浦』といういいバッターがいるという情報はチーム内で共有されていました。結果的には、(西浦を)三振に抑えることができたんですけど、評判通りのいいバッターだなと思いました」
とはいえ、初対戦でそこまで相手を特別な選手だと意識したわけではない。あくまで「全国レベル」を体感した相手の1人として名前を覚えた、という印象に留まっていた。