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なぜか内枠の馬が勝てないオークス。
「魔の1枠」ドンキの二冠を阻むのは?
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2015/05/23 08:00
ルージュバックの由来はブランデーをジンジャーエールで割ったカクテル名。桜花賞は9着に敗れたが鞍上の戸崎圭太は「オークスには良いイメージしかない」と自信をのぞかせる。
桜花賞出走馬が12頭出走した2010年はどうだったか。
しかし、本当に「桜花賞の再戦」になるのだろうか。
ちなみに、昨年、2014年のオークスに出走した桜花賞組は6頭、'13年は8頭、'12年は9頭、'11年は7頭、'10年は12頭(すべて18頭立て)だった。これら過去5年のなかで、今年に近い頭数だった'10年のオークスは、牝馬三冠馬となったアパパネと、桜花賞には出ず、トライアルのフローラステークスを勝ったサンテミリオンの1着同着で決着した。桜花賞の1着から9着馬まで出ていたのだが、馬券に絡んだ桜花賞組はアパパネだけ。「桜花賞の再戦」という感じの結果にはならなかった。
今年も、桜花賞の上位組ばかりに気を取られていたら、結果を読み違えてしまうかもしれない。
「強い馬が勝つ」東京芝2400mコース。
東京芝2400mは、何より「強い馬が勝つコース」だと言われている。確かに、広くて直線の長いこのコースでは、枠順やペース、位置取りなどより、馬の実力が勝敗を左右する――レースの格が上がるほど、その傾向は強くなる。近年のダービーで1枠の馬に良積が偏っているのは、ダービーを勝つような名馬は、ロスのない内枠を引き当てる幸運も持っている、ということかもしれない。
強い馬が勝つ。その視点から見るとして、では、今年のメンバーで、最も「強い!」と思わせる走りをしたのはどの馬か。それはやはり、ルージュバック(父マンハッタンカフェ、美浦・大竹正博厩舎)ではないか。
3戦3勝で臨んだ桜花賞では単勝1.6倍の圧倒的な支持を得ながら、スローペースで持ち味を発揮できなかったことに加え、初の多頭数、6キロの馬体減など、いくつかの要因が重なり、9着と大敗した。
ルージュバック、桜花賞前とは調整をガラリと変えた。
しかし、特に、牡馬勢を一蹴したきさらぎ賞の走りには、とてつもないスケールを感じさせられた。3歳牝馬らしからぬ迫力と、早くも「名牝」の雰囲気を漂わせるエレガントさが同居した圧巻のパフォーマンスで、2着を楽に2馬身切って捨てた。2着馬のポルトドートウイユが2走後の京都新聞杯でも2着となったことも、この馬の強さが本物であることを間接的に証明している。
桜花賞前とは調整過程をガラッと変えた。大竹調教師が「目の輝きが違う」と言うほどリラックスしていた放牧先から戻すタイミングを遅くするなど、馬の気持ちを盛り上げるための工夫をしている。
「力があるし、距離が延びる不安はない。この馬のいい走りを見せたい」と話している主戦の戸崎圭太は、先週のヴィクトリアマイルからのGI連勝を狙う。