沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
GI史上最高配当のヴィクトリアマイル。
なぜハイペースで先行馬が残った?
posted2015/05/18 11:45
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
NIKKAN SPORTS
3連単が2070万5810円というGI史上最高額の大波乱となった第10回ヴィクトリアマイル(5月17日、4歳以上牝馬GI、東京芝1600m)を制したのは、それまで全8勝を1200m戦で挙げていたストレイトガール(6歳、父フジキセキ、栗東・藤原英昭厩舎)だった。
大外18番枠からポーンと飛び出した、最低18番人気のミナレットがハナを切った。
7番のケイアイエレガントが2番手、その内に4番のレッドリヴェールがつけた。
それらを見るように、「一番かなというぐらい、いいゲートの出方をしてくれた」と鞍上の戸崎圭太が言うストレイトガールがつづく。
これを外からリトルゲルダが追い越して行き、3番手におさまった。
単勝2.2倍の1番人気に支持された岩田康誠のヌーヴォレコルトはストレイトガールをマークするように進み、その内にベルルミエール、カフェブリリアントらがいる。
ミナレットが2番手を4馬身ほど離した単騎逃げの形に持ち込んだ。3コーナーを回りながら後続との差をさらにひろげ、馬群は縦長に。前半4ハロン(800m)の通過は45秒5。1000m通過は56秒9だった。
ラスト400m、場内の歓声にどよめきが混じり出した。
直線に入っても、まだミナレットと2番手のケイアイエレガントとの差は6馬身ほどある。ケイアイの2馬身ほど後ろに3番手のリトルゲルダがいて、さらに2、3馬身後ろに残りの15頭がかたまっている。その15頭の先団グループのなかに、レッドリヴェール、ストレイトガール、そしてヌーヴォレコルトらがいる。
ラスト400m標識を通過しても、ミナレット、ケイアイ、リトルの3頭がポツン、ポツンと先行し、後ろがかたまりになっている形は変わらない。場内の歓声に「おいおい、大丈夫か?」というどよめきが混じり出した。
ラスト200m。ミナレットの脚色は衰えないが、それ以上の脚でケイアイエレガントが伸びてきて、差を2馬身ほどに縮めた。そして、ラスト100mほどのところでケイアイがミナレットをかわし、流れ込みを狙う。この時点で、後ろのヌーヴォレコルトが差し届かないことは明らかだった。