オリンピックへの道BACK NUMBER
ソチ五輪5位から、世界選手権で6位。
カーリング女子が強調する“収穫”。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2015/03/29 10:35
左から小笠原歩、近江谷杏菜、小野寺佳歩、吉村紗也香。2011年に再結成された「フォルティウス」の名前は、小笠原歩が所属した「チーム青森」の原点となるチームに由来する。
チームが大きく変化する中で手にした6位。
また吉村の場合、昨年度までプレーしていた札幌国際大学では一貫してスキップを務めていた。体力的な強化も図ってきたとは言うものの、スイープする立場になってから十分な準備時間があったわけではない。
いずれにせよ各選手、ショットでミスが出る場面があり、セットアップに苦しむ展開もあった。
一方で、スキップの小笠原歩が強調したのはプラスの側面だった。
「課題というより収穫のほうが大きかった大会でした」
ソチ五輪で5位の成績をあげたフォルティウスは、オリンピックシーズンを終えたあと、メンバーが変わった。吉田知那美が抜け、吉村と近江谷が加入し、新しいチームとして進んできたのが今シーズンだ。前にいたチームとポジションが異なる選手もいる。
チーム自体が大きく変わる中で決して簡単ではない日本選手権優勝を果たし、世界選手権代表をつかんだ。日本選手権後に産休をとった船山弓枝も不在だ。その上での6位である。
その過程をあらためて振り返れば、着実なレベルアップを果たすことのできた1年だったと言えるだろう。しかも、チームの可能性を感じさせる試合もシーズン後半になって見せるようになった。チーム全員が好調なプレーを見せた日本選手権はその象徴といえる。
「みんなが仕事をしないと世界では勝てない」
ショットの乱れなどから勝ちを自ら逃した試合の一方で、強豪を相手にしての勝利があった。大会の中に、4選手それぞれに好ショットがあり、戦略の幅の広がりも感じさせた。また、チームとして大舞台を経験したことも、大きな成果だったのではないか。
リードの近江谷杏菜は言う。
「大会を通して、チームワークだったり、調子が上向かないときに声をかけあいながら修復する力がついたと思います」
常々、小笠原はこう語ってきた。
「みんなが仕事をしないと世界では勝てない」
体力、集中力、1投1投の大切さを体感し、その厳しさを味わったことも、今後への糧となる。