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2014年の格闘技の大晦日を照らした、
DEEPとパンクラスが命を削った光。 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph bySusumu Nagao

posted2015/01/08 10:40

2014年の格闘技の大晦日を照らした、DEEPとパンクラスが命を削った光。<Number Web> photograph by Susumu Nagao

対抗戦は負け越したものの、唯一の王者対決を1R決着で制した石渡伸太郎。何とかパンクラスの面目は保たれた。

 2015年、年明けの瞬間は、さいたまスーパーアリーナのインタビュースペースで迎えることになった。DEEP初となる大晦日興行の終了時刻が、予定を大幅に超えてしまったためだ。15時すぎにオープニングファイトが始まり、メインイベントが終わった時には23時30分をすぎていた。

 初めての大晦日興行、団体史上最大のビッグイベント。主催者にとって慣れないことばかりで、進行に読み違いが多々あったのだろう。遠方から観戦に来たものの、途中で帰らざるを得なかったファンもいたようだ。

格闘技ファンにとって特別な日、特別な場所を守るために。

 なぜ、DEEPは団体のキャパシティを超えるほどの興行を開催したのか。理由は「誰もやらないから」だ。大晦日のさいたまスーパーアリーナでは、過去に数々の名勝負が行なわれてきた。格闘技ファンにとって特別な日、特別な場所である。

 だがDREAMが活動停止状態となり、2013年は興行なし。DEEP・佐伯繁代表には「大晦日のさいたまで格闘技をやらなくていいのか」という思いがあった。しかも今回、会場を使わなければ使用権が切れてしまう。そうなれば、おそらくミュージシャンやアイドルの年越しライブに使用され、二度と格闘技に戻ってくることはない。

 そうならないために、つまり“格闘技界の伝統”を守り、次の時代につなぐために、佐伯は「誰もやらないなら、俺がやります」と無理に無理を重ねてのビッグマッチを決行したのだ。

興行は、後楽園ホール大会2回分のボリュームに。

 超ロング興行になった原因の一つは、試合数の多さだ。オープニングファイト4試合、本戦18試合。後楽園ホール2回分のボリュームである。

 これは、近年の格闘技イベントの傾向だ。使用時間制限がタイトな後楽園以外の興行では、試合数を多くすることで各選手の応援団を動員しようというわけである。DEEPの大晦日も例外ではなかった。会場が大きいだけに、いつも以上に“選手手売りチケット”が重要になってくる。

 ただ、それだけで試合数が増えたというわけでもないだろう。“勝負カード”を次々と切っていった結果、これだけのボリュームになったという面もある。

【次ページ】 大会の目玉はDEEP対パンクラスの5対5対抗戦。

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