大会の目玉はDEEP対パンクラスの5対5対抗戦。

　メインイベントは北岡悟vs.吉田善行のライト級タイトルマッチ。セミファイナルには売り出し中のフライ級王者・元谷友貴が初の国際戦で“対世界”に挑む注目の一戦が組まれた。女子マッチも4試合。その中には浜崎朱加vsV.V Meiの日本女子48kg級頂上対決もあった。オープニングファイトで組まれた若手有望株の試合も含め、数は多いが“捨てカード”もなかったのである。

　とりわけファンを興奮させたのは、DEEPとパンクラスの5対5団体対抗戦だった。それぞれチャンピオン2人を含むトップファイターが揃った。佐伯いわく「5連勝も5連敗もありうる」リスキーな対抗戦だ。

DEEPが唯一できる、“出し惜しみ”をしないこと。

　DEEPには、さいたまスーパーアリーナを超満員にするだけのプロモーション資金はなかった。誰もが知っているビッグネームを招聘することもできない。できるのは、出し惜しみをしないことだけだ。看板選手たちを送り出したパンクラスも、そしてもちろん闘う選手たちも、リスクを背負い、身を削ることでファンにアピールしたのである。

　先鋒戦、DEEPの岸本泰昭は高橋“Bancho”良明の組み技に苦しんだが、最終ラウンドにパンチでKO寸前に追い込み、逆転の判定勝ち。次鋒戦はパンクラス・スーパーフライ級王者の清水清隆が柴田“MONKEY”有哉をKOした。中堅戦はDEEPバンタム級のトップコンテンダー・北田俊亮が中島太一を粘り強いテイクダウンで振り切った。

　ここまで激闘ばかり。特に岸本vs.高橋、北田vs.中島は試合終了のゴングが鳴るまで勝負がどう転ぶか分からない闘いだった。「いったいどこにそんなエネルギーが残ってたんだ!?」という驚きの連続だ。

　選手たちの想像を超える頑張りを、元DEEP王者、現在はUFCで活躍する菊野克紀はこう分析している。

「対抗戦で、みんないつも以上の力を出したと思います。DEEPの選手にとっては、自分の陣地を乗っ取られるかもしれないという危機感がありますから」

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