濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
ヒクソンの次男クロンがMMAデビュー。
グレイシーを背負う“業”の重み。
posted2014/12/28 10:50
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Susumu Nagao
12月23日、有明コロシアムで行なわれた新大会『REAL 1』は、MMAデビュー戦の選手がメインイベントに登場するという異例の大会だった。
だが、そこに出場した“新人”にふさわしいポジションは、メインイベントしかないのもまた確かだ。クロン・グレイシー。“400戦無敗”として知られるヒクソン・グレイシーの次男である。
組み技世界大会アブダビ・コンバットでオール一本勝ちでの優勝を飾り、青木真也とのグラップリング・ワンマッチではフロントチョークでタップを奪うなど輝かしい実績を収めてきたクロン。彼との契約に成功したことが、『REAL 1』旗揚げのきっかけだったという。
ヒクソン「父親としては、彼のことを守りたい」
旗揚げ戦までの道のりは、決して平坦ではなかった。最初の記者会見が行なわれたのは5月のこと。旗揚げ戦は夏に開催されるという話もあったが、12月にずれ込んだ。トップファイターの多くがUFCと契約し、日本国内でもプロモーションがひしめいている現状では、豪華なカードを並べることも不可能だった。
クロンの対戦相手選びも難航している。何人かのビッグネームが噂されたものの、最終的に決定したのは韓国のレスリング王者キム・ヒョンスだった。
やはりMMAデビュー戦の選手である。記者会見で「MMAではデビュー戦だから、まずはレベルに見合った選手と闘って慣れていくことが必要。父親としては、彼のことを守りたいという気持ちも少しあるね」と語ったヒクソンが慎重になったのかもしれない。