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東京五輪に野球が復活したら……。
侍ジャパンの編成を今こそ考える。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byNaoya Sanuki

posted2014/12/12 10:40

東京五輪に野球が復活したら……。侍ジャパンの編成を今こそ考える。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

星野監督が率いるプロ選手チームで臨んだ北京五輪では、準決勝・3位決定戦ともに敗れ、メダル無しの4位に終わった。チーム編成のあり方は、復活の可能性が出てきた東京五輪に向けての大きな課題となる。

プロ球界のためにも、アマチュアの活性化が必要。

 いまの侍ジャパンでは、五輪がまたもプロ球界だけの盛り上がりで、アマチュア球界には何ももたらさないままに終わってしまう可能性がある。それよりも五輪を契機に、プロ、アマ球界が一丸となった日本野球の盛り上がりを作り上げることを目指す。そのためにはここで挙げた方法だけではなく、もっと様々な編成方法が検討課題となるべきだとも思うのだ。

 球界の繁栄は、決してプロの世界が経済的に潤うだけでは達成できないはずだ。

 プロというトップを下支えするアマチュアの活性化無くして、プロの繁栄もあり得ない。そして大きな意味では、アマチュア球界の裾野が広がり競技人口やファンの数が増えていくことで初めて、侍プロジェクトなどプロが描く収益システムも効果的に機能していくはずなのである。

 そのためにはプロだけではなく、アマチュアも含め、そして日本選手団という大きなくくりの中で野球が果たす役割をもう一度、これを契機に見直すべきなのである。

野球への夢のために、あらゆる可能性を。

 プロ選手で結成されたアテネ、北京両大会での野球の日本代表は、開会式にも参加しないで選手村にも入らず、現地のホテルを借り切って大会期間をそこで過ごした。それが他競技の一部の選手からは、日本選手団の一員という感覚から少し外れた感じで見えた部分もあったと聞く。

 そう考えると、東京五輪で復活を果たしたときには、ぜひとも日本選手団の一員としての自負と、そして他競技の選手たちからも本当の“仲間”として受け入れられる形での参加を望みたい。それをやって初めて「五輪の重み」を肌で感じ、日の丸を背負う責任を本当に自覚できるのではないだろうか。

 断っておくが、これは結論ではない。

 もちろんプロのドリームチームで金メダルを、という声があってもそれはそれでいいとも思う。ただ五輪復帰という夢が実現するならば、その先に野球への夢を抱かせるようなチームをぜひとも実現してほしい。

 そのためにはあらゆる可能性を模索してほしいし、模索すべきだと思うのだ。

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