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東京選抜に揃った18人の高校球児。
東南アジア遠征は「個性」が大事。 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2014/12/06 10:40

東京選抜に揃った18人の高校球児。東南アジア遠征は「個性」が大事。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

秋季高校野球東京大会で優勝、明治神宮大会でも準決勝まで進出した東海大菅生の2年、勝俣翔貴。注目のスラッガーは今夏より投手としての才能も開花。海外遠征でさらに成長なるか。

プロのスカウトも笑みをこぼした勝俣の飛距離。

 それにしても、勝俣のスイングスピードと飛距離は別格である。ネット裏で観戦していた吉野誠・阪神スカウトに「凄いですね」と言うと、「どんぴしゃでしたね」と笑みが洩れる。ネット裏にいたのは阪神とソフトバンクのスカウトだけだったので、いいものを見たとほくそ笑んでいたのかもしれない。

 早実の加藤は、高校通算ホームランが早くも30本を超えている。早実に在籍する一本足打法という共通点から「王貞治2世」と言われることが多いが、高いグリップ位置から縦スイングでボールを捉える打撃フォームのほうが実は興味深い。打球の強さは勝俣と並んで双璧、さらに183cm、81kgというがっしりした体格は高校生レベルを遥かに越えている。捕手としてはスローイングに強さと速さがないので、外野手としてプレーしたほうが力を伸ばせると思う。

野球発展途上国へのメッセージとして最適な選手。

 勝俣、加藤以上に個性的な打ち方をしていたのが中道だ。日本人打者は投手のストレートに差し込まれないために投手が足を踏み出す(ステップする)タイミングで始動する選手が多いが、中道はそれより遅いタイミングで始動する。

 最近、プロ野球では走者がいないのにクイックで投げる久保康友(DeNA)や五十嵐亮太(ソフトバンク)のような投手が増えてきた。打者のタイミングを狂わせようとするこういう投手には、遅い始動でタイミングを合わせ、逆方向への意識を高めるというバッティングが有効で、中道は9回にそれを絵に描いたような打ち方をして右中間を破る二塁打を放った。

 中道の活躍は、野球の発展途上国ともいえるシンガポールとミャンマー相手の親善試合に向けての、「投げ方、打ち方には人それぞれの形があり、自分の体の個性に合ったスタイルを身につけるべきだ」というメッセージになるのではないだろうか。見本として、中道は最高の人材だと思う。

【次ページ】 遠征のもう一つの目的は「野球の普及」。

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