箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
全日本4位に沈んだ東洋大学。
それでも「箱根は僕らが」のオーラ。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byNanae Suzuki
posted2014/12/04 10:30
全日本で東洋大学は4位に終わり、駅伝界に衝撃が走った。「鉄紺」と呼ばれるユニフォームは箱根で輝きを取り戻すことができるだろうか。
服部勇「2区は67分10秒台で走れると思う」
かつては「憧れ」だった箱根駅伝が、陸上選手として「通過点になった」という服部勇は、ランナーとして長期のプランを描き、そして箱根駅伝をその中に位置づけるようになっている。
「東京五輪のマラソンでメダルを狙うと考えると、'16年のリオにも出場しておきたい。でも、初マラソンがいきなりリオの選考会というのは厳しいから、その前に1本走っておきたかったんです」
箱根で起用が予想される2区でも「67分10秒台では走れると思う」と自信をのぞかせるが、高い目標を持つエースは、チーム内で浮くことなく、「自然と周りの選手のレベルを引き上げる、そんな雰囲気がある」(谷川嘉朗 コーチ)という。
冷静で、周囲のこともよく見えている服部勇が「全日本は苦戦することはわかっていました。でも、箱根は自信があります」というのだから心強い。そこに田口の言葉通り、危機感を持った選手たちのレベルアップが加われば、底上げにもつながる。
「箱根で圧倒的に強い」のが東洋。
ここ数年、東洋大は、全日本から箱根までの2カ月間で最も成長するチームという印象がある。その成長が、箱根を走る10人、それに補欠のプラス2~3名まで含めた「総合力」で勝負する大学のカラーとなってきた。
酒井監督も「特別な秘策があるわけではないけど、全日本後の2カ月でチームはがらっと変わります」と、学生たちの変化を促す準備はできているようで、実際に11月16日の上尾ハーフでは、全日本で奮わなかった服部弾馬、桜岡駿が好記録を残した。
「実力では駒澤さんが頭ひとつ抜けている。でもチャンスは絶対にあります。1、2区、そして山の5、6区という主要区間ではうちも勝負できますから」(酒井監督)
過去6年を振り返ると、東洋は箱根駅伝では優勝4回、準優勝2回という圧倒的な成績を誇るが、全日本では優勝がゼロ、出雲も1度だけだ。駅伝で強い、のはもちろんだが「箱根で圧倒的に強い」のが東洋なのだ。
「1区間20km、10人で襷をつなぐ箱根こそ、自分たちのレースだ」
過信ではなく、積み重ねが生む静かな自信――。新春の大舞台で、鉄紺軍団の逆襲が始まる。