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C・ロナウドが12試合で20ゴール中!
「生ける伝説」を生む、稀なる環境。 

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北條聡

北條聡Satoshi Hojo

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posted2014/12/01 10:30

C・ロナウドが12試合で20ゴール中!「生ける伝説」を生む、稀なる環境。<Number Web> photograph by AFLO

メッシの記録を大幅に上回るペースでゴールを量産するC・ロナウド。

C・ロナウドに自由を与えても破綻しないシステム。

 最も分かりやすいのはピッチ内における役割の変化だろう。左ウイング(稀に右ウイング)にほぼ固定された前任者(ジョゼ・モウリーニョ)の時代とは異なり、現在の役どころはフリーロールだ。2トップの一角に収まり、センターはもちろん、右へ左へと自由に動き回り、思いのままにフィニッシュへの道筋をつけることが可能になった。ポジションチェンジ(配置転換)に少なからず制約のあったモウリーニョ時代との決定的な差異と言える。

 C・ロナウドに自由を与えても破綻しないシステムの構築――。それが、アンチェロッティが考えをめぐらせた最大のテーマだろう。左ウイングを担うC・ロナウドが守備のタスクを怠れば、防御システムに綻びが生じかねない。だが、タスクを優先すれば、戦況次第でC・ロナウドがストレスを溜め込んでしまう。おそらく、モウリーニョはこのジレンマに悩まされた一人だろう。緻密なシステムとの相性の悪さは、C・ロナウドを抱えた指導者が直面する「闇」かもしれない。

 守備のタスクに忠実さを求めるならば、左右のウイングはタッチライン沿いで激しい上下動を強いられることになる。これが1トップや2トップになると、目の前のセンターバックを追い立てればいい。いや、短い距離を走ってコースを限定するだけでも最低限のタスクは消化できる。極端に言えば、2トップが「いい加減」でも防御システムに致命的な欠陥は生じない。4人のDFと4人のMFから成る8人の守備ブロックが整えば、敵の反撃をやり過ごす強度は保てるからだ。

昨季から可変システムを使っていたマドリー。

 実は昨シーズンから、マドリーは戦況に応じてC・ロナウドを最前線に「避難」させる可変システムを用いていた。4-3-3から4-4-2への転換だ。右ウイングのギャレス・ベイルを一列落としてMF陣の一角に組み込み、左インサイドMFのアンヘル・ディマリアをワイドに持っていく。そして、右インサイドMFのルカ・モドリッチをアンカーのシャビ・アロンソと並べた。これで絶対エースを避難させる「余白」が生まれるわけだ。

 守備のハードワークをも厭わないベイルとディマリアの強みを、注意深く見極めたアンチェロッティの卓越した手腕の成せる業か。相手にボールを持たれる時間が長くなる状況下で、この可変システムがC・ロナウドの武器(個性)を保全する隠し味となった。

【次ページ】 マルチロールとスペシャリストの共存策。

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