プレミアリーグの時間BACK NUMBER
“売れ残り”が果たした劇的な復活。
フェライニがマンUで放つ「異彩」。
posted2014/11/30 10:50
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Tomoki Momozono
マンチェスター・ユナイテッドが復調の兆しを見せている。
11月22日のプレミアリーグ第12節でアーセナルに勝利(2-1)し、順位は1カ月ほど前の8位から4位に上昇。過去2カ月間の7試合で黒星はたったの1度。その1敗も、地元の宿敵にして優勝候補でもあるマンチェスター・シティとのアウェイゲーム惜敗(0-1)だ。
いわゆるマンUらしい豪快な攻撃サッカーが甦りつつある、とまではいかない。しかし、その低調ぶりが昨季7位の「デイビッド・モイーズ前体制以下」として強調されてきた、ルイス・ファンハールのマンUが、トップ4返り咲きへの希望を取り戻したとは言える。
同時に、さすがはファンハールと言わざるを得ない。メンバーもシステムも未だ固定されていないという意見もあるが、只でさえクオリティ不足の守備陣に故障者が続出して頭数も減り続ける中で、チーム事情に応じて布陣と戦術を変えながらポイントを重ね始めたのだから。
クリス・スモーリングが出場停止中だった第11節クリスタルパレス戦(1-0)では、新ボランチのダレイ・ブリントが急造CB。コンビを組んだ相手は、プレミア経験わずか3試合の19歳パトリック・マクネアーという苦しい台所事情だったのだ。
放出濃厚だったフェライニが、にわかに注目を集める。
この高い現実適応能力を発揮し始めた新監督の下で、注目を集める選手がマルアヌ・フェライニだ。巨漢のベルギー代表MFは、今夏の放出が濃厚と思われていた。前監督に古巣エバートンから呼び寄せられた昨季は、怪我の不運もあってリーグ戦での先発が12試合に留まり、移籍金2750万ポンド(約50億円)を伴ったマンUでの1年目は大失敗に終わっていた。
チームを受け継いだファンハールにすれば、主眼を置く攻撃の基本とするスピードも足下のテクニックも、要求レベルには及ばない選手。8月に練習で足首を痛めていなければ、噂のあったナポリあたりへの売却が実現していたのではないだろうか?