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C・ロナウドが12試合で20ゴール中!
「生ける伝説」を生む、稀なる環境。
posted2014/12/01 10:30
text by
北條聡Satoshi Hojo
photograph by
AFLO
いったい、歴史的なゴールラッシュの引き金は何なのか――。
今季、スペインのリーガ・エスパニョーラでゴールを量産中のクリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリー)のことだ。開幕からの12試合で、出場した11試合毎試合得点で20ゴールをマークしている。1試合平均の得点は実に1.81。チームの総得点が20ゴールに満たないクラブが16もあるのだから、いかに破格の数字かが分かる。
得点ランクの2位につけるネイマール(バルセロナ)の11ゴールを大きく引き離し、ランキングのトップを独走。現在のハイペースを維持すれば、シーズン終了時点で63ゴールに到達する計算だ。あのリオネル・メッシ(バルセロナ)が持つ1シーズン最多得点記録(50ゴール)を大幅に更新するわけである。
その勢いは衰えを知らず、欧州チャンピオンズリーグでも面白いようにゴールネットを揺らしており、先のバーゼル戦でも決勝点を記録して同大会の通算ゴール数を71に伸ばした。
5月には昨季の欧州チャンピオンズリーグでもマドリーのデシマ(10回目の優勝)に貢献しており、2014年FIFAバロンドールの最有力候補と目されている。受賞すれば2年連続だ。今年29歳。精神的にも肉体的にも今がキャリアの絶頂期とみていい。まさしく円熟期を迎えたタイミングで「伝説」が築かれつつあるが、本人を取り巻く環境も空前のゴールラッシュを強力に後押ししている。
アンチェロッティが構築したオーダーメイドのチーム。
イタリアの名将カルロ・アンチェロッティが監督のポストに就いて2シーズン目。依然、ワールドクラスのタレントをかき集めるマドリーの方針に翻弄されつつも、思慮深い指揮官はアンバランスなパズルを慎重に組み立て、理想と現実の折り合いをつけつつある。
特定のシステムに固執せず、各々の個性(武器)を最大化するオーダーメイドのチームづくりにかけては、当代随一の指導者かもしれない。このイタリア人の監督就任も間違いなく、ゴールラッシュの追い風である。