MLB東奔西走BACK NUMBER
カーショークラスの才能と、現能力。
大谷翔平と、MLBの「距離」を考える。
posted2014/12/02 10:40
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph by
Naoya Sanuki
少々気が早いのだが、今回は“未来”のメジャー選手について考えてみたい。
8年ぶりに開催された日米野球で、改めて脚光を浴びることとなった日本ハムの大谷翔平投手についてだ。
高校から直接メジャー行きを表明しながらも、日本ハムのドラフト指名でNPB入り。とはいえ、今でも将来の夢はメジャーと公言しており、日本ハムも大谷の夢を応援することを前提条件に入団させたという事実を踏まえれば、彼のメジャー挑戦はまさに既定路線と言っていいだろう。
筆者は米国在住のため、これまでは大谷の投球を動画サイトなどで断片的にしか見ることができなかったが、今回日米野球をMLBネットワークが中継してくれたため、彼が登板した2試合をフルで観戦することができた。
特に先発したシリーズ第5戦では4回を投げ2失点、7奪三振の投球を披露し、日本のメディアは手放しで賞賛した。
対戦したメジャー選抜チームの声を拾いながら、大谷が即メジャーで通用するような報道も散見されたが、果たして本当にそうなのだろうか。
今一度、検証してみたい。
有り余る才能と、経験の浅さ。
大谷がメジャー選手相手に7奪三振を奪い、メジャーでも強打者の1人エバン・ロンゴリア選手から160kmの真っ直ぐで空振り三振を奪ったのは紛れもない事実だ。
その一方で6安打、2四球を与え毎回のように走者を許し、80球という球数制限の中4回で68球を投げてしまったということもまた、否定できない現実なのだ。
もしこの試合が、100球前後を目処に投げさせるメジャーの公式戦での登板だとしたら、大谷の投球は平均、もしくは平均以下の内容だったと言わざるを得ない。
もちろん彼の類い希な才能は、メジャーでもトップクラスにあるのは間違いない。だが日米野球での投球は、有り余る才能の一端を披露する一方で、まだまだ経験の浅い若手投手としか映らなかった。