5500kmダイエット挑戦記。BACK NUMBER

ついに始まったオーストラリア横断。
ダイエットより大切な、僕の命。 

text by

横田健太

横田健太Kenta Yokota

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photograph byKenta Yokota

posted2014/11/28 10:30

ついに始まったオーストラリア横断。ダイエットより大切な、僕の命。<Number Web> photograph by Kenta Yokota

難所だと思っていたナラボー平原を4回も横断したという自転車店のスタッフと一緒に。これで横断できなかったら僕がダメみたいじゃないか……。

大陸横断をしていることを感じながら走りたい。

<10/17 いよいよ自転車旅スタート>

 これから2カ月間の旅が始まるのだが、前日の観光のせいなのか、まったく自転車を漕ぐ気になれない。朝はベッドからなかなか起きることができなかった。前夜自転車の組み立てに4時間もかかり、早くも日本に帰りたくなったことも影響しているのかもしれない。それでもなんとか気を取り直したところで、タイヤレンチ(ペダルを外すときに必要な工具)と水を入れるボトルがないことを思い出し、慌てて自転車ショップを探した。

 ホテルから近い所にGIANT STOREがあった。GIANTは今回持参した旅の相棒であり、愛着がある。開店と同時に店内に入ってみると、日本と変わらない充実の品揃えで安心できた。店内をうろついていると、店員が自転車と荷物を見て僕にこう言ってきた。

「シドニーに行くんだろ? ナラボー(約1800kmの砂漠地帯)を俺は4回も横断したんだ。君もナラボーを通るんだろ??」

 なぜ、シドニーに行くことが言う前に分かったのだろう? おそらく、オーストラリア大陸の西の端にあるパースから自転車の旅に出る人が多いのだろう。この旅で最も警戒しているナラボー平原を4回も横断したと、至極あっさりと言われてしまい驚いてしまった。

 その店員さんと記念撮影をして、いざ出発。早く大きな街から出て、周りに何も無い一本の道が延々と続くところを走りたいと思った。そう、大陸横断をしていることを感じながらペダルを漕ぎたいのだ。

高速道路を、自転車で走る?

 しかし、スタートするとすぐに疑問が出てきた。ルートとして「Great Eastern Highway #94」を考えていたのだが、冷静に考えると「高速道路を走るのか?」と不安になった。日本ではバイパスでさえ自転車は通行禁止なのに、高速なんてどうすればよいのだろう。でも考えてもしょうがないので、高速道路につっこんでいく。

 だが、高速道路を漕ぎ始めて10分で、ブレーキの効きが悪いことにきづく。おかしい。ブレーキをかけても減速しない。よくみてみるとブレーキシューが片方はずれている。大問題だ。オーストラリアのハイウェイは、大都市付近だと信号があるので、停まれないのは生死にかかわる。ことの時は運よく自転車ショップが見つかったが、あのお店がなかったら今頃どうなっていたのか。

【次ページ】 永遠に続くかと思う、15kmの坂。

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