5500kmダイエット挑戦記。BACK NUMBER
ついに始まったオーストラリア横断。
ダイエットより大切な、僕の命。
text by
横田健太Kenta Yokota
photograph byKenta Yokota
posted2014/11/28 10:30
難所だと思っていたナラボー平原を4回も横断したという自転車店のスタッフと一緒に。これで横断できなかったら僕がダメみたいじゃないか……。
永遠に続くかと思う、15kmの坂。
平坦な道を、色々なことを考えながら走ること30km。Perth Hillsという標識がでてきた。Hills、丘。きっと坂が少しあるのだろうが、「山国の日本で鍛えてきたから余裕」くらいの気持ちだった。しかし、その自信は一瞬にして砕かれる。この丘はパースの中心部が見えるほどまで続く、永遠の坂だったのだ。
おそらく15kmはあった。積み込んだ荷物は約40kg。途中から、疲れ果てて押しながら歩いていく。
ようやく丘を越えると、じりじり照っていた太陽も沈み始め夕方を迎える。徐々に景色が寂しくなり、車の数も少ない。とうとう大陸横断がはじまったのだ。しかし、テントを張ることを考えると少し不安になる。もちろん道路沿いにキャンプ場があるわけもなく、駐車場にテントを張ろうかと思ったが、夜に車にひかれたら終わりだ。
初日からホテル泊、しかも値切って!
どうしようかと考えているうちに日も暮れ始めたところで、不意に視界の先に街の案内が現れる。しかもベッドの標識と一緒に。いきなりホテル宿泊はどうかと思ったが、疲労もあったのでホテルの看板を目指して走った。
田舎の安ホテルかと思っていたのだが、眼前に現れたのは立派なリゾートホテル。支配人らしき人が入口に立っていて会釈をされる。宿泊費を聞くと135ドル(約1万2000円)、シドニーまで30万円で過ごすのに、ここでの出費は痛すぎる。しかしあまりにも追い込まれていたため、何を思ったか値切りを開始。東南アジアでもないのにどうしたものか。
「昨日、パースに日本からやってきたんだ。これからシドニーまで2カ月間旅をするためあまり宿泊費にお金がかけられないんだ。どうにか安くしてくれないか?」
怒られる覚悟で交渉をしてみると、支配人は怒るそぶりを全く見せず、「素晴らしいじゃないか! これから大変だろうに。今日は夜も遅いし危険だから50ドルでどうだい?」との答え。あまりのディスカウントぶりに驚いて、「サンキューー!!」と叫んでしまった。一瞬で疲れが吹き飛んだ!
とはいえ……この調子だと、明日から一体どうなることやら。格安で過ごせるキャンプ地を調べないと本当に資金がショートする、という危機感を初日にして強くすることにもなった。