5500kmダイエット挑戦記。BACK NUMBER
ついに始まったオーストラリア横断。
ダイエットより大切な、僕の命。
text by
横田健太Kenta Yokota
photograph byKenta Yokota
posted2014/11/28 10:30
難所だと思っていたナラボー平原を4回も横断したという自転車店のスタッフと一緒に。これで横断できなかったら僕がダメみたいじゃないか……。
時速40kmで大転倒、道路側だったら命は……。
<10/18 転倒と落雷>
ホテルを早朝に発ち、目指すは100km先にあるキャンプ地。景色も、一本道の脇にただただ平原が広がるさびしいものに変わってきた。路肩を踏み外せば砂利なので、ここで転倒したら即、大怪我だ。そんなことを考えながら単調な景色のなかペダルを漕ぎ続ける。足を止めるとすぐに休む癖がつきそうで、ひたすら耐えた。体重を前に、心を無にしてペダルを回す。
中間地点の街まであと5km。鼻歌を歌いながら坂を下っていた。スピードは時速40kmくらいか。ちょうどお昼だったので何を食べようかと、考えながら漕いでいたのだと思う。いつの間にか……砂利の上を走っていた。
必死にハンドルをきろうとするも、結構なスピードが出ていた上に、重い荷物のため挙動が定まらない。ブレーキをかけた瞬間――10mくらい吹っ飛んだ。頭を思い切りたたきつけられる。
高速道路を飛ばしていた車が2台も止まってくれ、自転車に埋もれている僕を救出してくれた。オーストラリア人は優しい。立ち上がると、幸いにもヒジをすりむいた程度の怪我ですんだ。もし、車が走る道路の方角に飛んでいたら命はなかっただろう。
高速道路を走り始めると、雨と稲妻が。
救出してくれた人と別れると、Northamという街についた。街に入ると古い家が並び、綺麗な川が流れている。鴨の鳴き声が旅の疲れを軽減してくれる。バーで水をもらい、スーパーで石鹸など足りない生活用具を買い足して、キャンプの準備を整えた。
明るいうちに次の街へ出発、と思った時、雲行きが怪しくなってきた。レインカバーを荷物に付けて、高速道路へ戻る。その時、雷の音が聞こえた。振り向くと稲妻が落ちている。雲をみて進行方向に進んでいないことを確かめるが雨はますます強くなり、自転車を漕ぐにも視界が悪く、どうしようもなくなった。ヒッチハイクを試みるも高速道路では誰も止まってくれない。