セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
復活の長友佑都、危機感の本田圭佑。
ミラノダービーで交錯した2人の現在。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2014/11/25 11:30
ミラノダービーで初めて顔を合わせた、長友佑都と本田圭佑。不調から立ち直った長友と、好調を取り戻したい本田、2人にとってこの試合はどんな転機となるのだろうか。
レジェンドたちは、今回のダービーをどう見たのだろう。
試合前夜、インザーギは「ダービーはプレーするものではない。勝つものだ。どんなに泥臭くてもいいから勝つんだ」と発破をかけた。
ただし現実的には、まだまだ指導者歴の浅い指揮官インザーギが打てる手は限られている。本田を送り出した後、ミランのベンチに流れを変えられそうなプレーヤーは残っていなかった。選手層も、自身の指導経験も、急には増えてくれない。現役時代に4つのダービー・ゴールを奪ったインザーギは、次の対戦での必勝を誓った。
インザーギも敵将マンチーニも、ミラノダービーの重みを十分すぎるほど知っている。
だが、'90年代以降に生まれた彼らの教え子たちは、今回のダービーで軽いプレーを連発した。
エルシャーラウィもイカルディも、ゴール前でGKとの一対一という決定機を外した。
スタジアムにその名を冠された伝説のメアッツァを初め、ノルダールやアルタフィーニ、ロナウドにミリートといった過去の偉大なストライカーたちが今回のダービーを見たら、後輩たちを叱責しただろう。
シェフチェンコ「サッカーも人生も浮いたり沈んだり」
準決勝にセリエAのクラブが3クラブ勝ち上がった'02-'03年シーズンのCL準決勝2試合のように、ミラノダービーは、世界最高のレベルを取り戻せるだろうか。
通算14ゴールを挙げ、ミラノダービー得点王の称号をもつシェフチェンコは、2つのライバルクラブが中位に低迷する今こそ、互いに切磋琢磨し、復活せよとエールを送る。
「サッカーも人生も浮いたり沈んだり。ミランとインテルがトップクラブへ返り咲く日は必ず来る」
後半戦での再戦は、来年4月中旬。
ミランとインテルが、212回目のダービーに臨むとき、より成長した本田と長友が、よりハイレベルでより面白いミラノ・ダービーを見せてくれるはずだ。