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シード校に食い込むダークホースは?
予選会から'15年の箱根駅伝を読む。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byTadashi Shirasawa
posted2014/10/20 16:30
個人3位でゴールし、神奈川大を5年ぶり1位に押し上げた柿原聖哉は、「かなり余裕があったので。周りがきついところでペースを上げられた」とコメントした。
来年1月の本選でもかなり戦えそうな学校が……。
今回の予選会の走りを見ると、1月2日、3日の本戦でもかなり戦えそうな学校がある(加えてダークホースが1校)。
まず、予選会トップの神奈川大は全体のレベルがアップしているだけでなく、59分17秒で全体3位の好成績を収めた柿原聖哉などエース級の選手が育っており、往路で波に乗ればシード権確保にかなり近い位置につけている。大後栄治監督は、
「まだシード校の胸を借りるどころか、軒下も借りられませんよ」
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ユーモアを交えて謙遜するが、久々のシード権獲得に手ごたえを感じているのではないか。
神奈川大は全日本大学駅伝にも出場するので、そのときに他校との力関係が見えてくるだろう。ただし、予選会からおよそ2週間しかなく、どれほどの状態で臨めるか、という注釈がつく。
山梨学院大、有力な1年生がひとりもエントリーせず。
ダークホースは予選会4位通過の山梨学院大だ。個人2位の結果を残したオムワンバ、主将の井上大仁がいて4位という結果はいささか物足りない。
しかし、昨年の全国高校駅伝で優勝した山梨学院大附から有力選手が多数入学しているのにもかかわらず、なんと予選会では1年生がひとりもエントリーされなかった。
上級生が充実していると見るべきか。
私は全日本に向けて1年生(全日本のエントリーでは市谷龍太郎)を温存したと見る。
全日本では力のある上級生にまじって、1年生が短い区間を担当し、箱根への試金石とするはずだ。
早大の渡辺康幸監督は、
「今年は山学が来ます!」
と、春先から警戒していたが、全日本は山梨学院大がベールを脱ぐ機会になりそうだ。
出雲が中止になった分、全日本のウェイトは高まる。気象条件が良ければ、出雲中止のうっぷんを晴らすべく、ハイペースでの戦いになると予想しておこう。